足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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ルオー「キリスト」と遠藤周作「イエスの生涯」

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ジョルジュ・ルオー「キリスト」。
信仰心の有無にかかわらず、
切々と胸に響いてくるものがあります。
目を閉じて、顔を傾けて、ただただ祈る。


ルオー「キリスト」
Christ(1937-38)
Georges Rouault




右下には聖地をあらわす赤い建物があり、
それと呼応するかのように、キリストの頭上にも赤い光が浮かんでいます。
そして、ルオーの作品を象徴する深い青。
慈愛の青なのか、悲しみの青なのか……。


この作品は、版画作品「辱められるキリスト」のうえに
色を加え、背景を追加したものだそうです。
もとの版画ではいばらの冠をかぶせられており、
どうしてもこの先の、ゴルゴダの丘を連想してしまいます。
この版画をベースにしている以上、
やっぱり「キリスト」に描かれているのは悲哀や苦渋なのでしょう。
でも、「キリスト」は静かな祈りに満ちていて
より精神的というか……悲哀のなかにもやさしさが感じられます。


ルオー「辱められるキリスト」ルオー「キリスト」2



以下、ちょっと長くなりますが遠藤周作の「イエスの生涯」より引用を。
ルオーの作品について書かれているわけではないけど、
何か通じるものがあるように感じたので。



イエスは民衆が、結局は現実に役にたつものだけを求めるのをこの半年の間、身にしみて感じねばならなかった。彼は愛の神と神の愛だけを説いたのに、それに耳傾けたのはごく少数の者にすぎなかった。弟子たちでさえ、彼の語っていることの真意を理解してくれなかった。盲人たちは眼の開くことだけを、跛(びっこ)は足の動くことだけを、癩者(らいしゃ)は膿の出る傷口のふさぐことだけを要求してくるのだった。(中略)そしてその背後に現実的な奇蹟しか要求しない群衆のなかでじっとうつむいているイエスの姿がうかんでいるのだ。

イエスはこうした病人や不具者を見棄てられはしなかった。むしろ、弟子たちと共に、人々が忌み嫌う癩者たちの谷も訪れ、マラリヤに苦しむ男の小屋もたずねていかれたことが聖書にはっきり書いてある。(中略)棄てられた彼等の住む山かげや谷をイエスは歩かれた。彼は癩者をもとの体にしてやりたかった。盲人の眼も見えるようにしてやりたかった。跛も歩かせてやりたかった。子を失った母親に、子を戻してやりたかった。

しかし、それが出来なかった時、彼の眼には悲しみの色が浮んだ。彼は癩者や不具者の手を握り、彼等の苦痛やみじめさを引きうけたいとひたすら願った。彼等の苦しみをわかちあうこと、彼等の連帯者になることはイエスの願いであった。だが癩者も不具者もただ治ることだけを望む。治してくれとイエスに訴えてくる。



遠藤周作の「イエスの生涯」では、
期待はずれの予言者として民衆に見棄てられ、
弟子たちにさえ理解されず、孤独を深めて行くイエスが描かれています。
奇蹟を起こすことなんてできない。
だから、
愛することしかできない。
祈ることしかできない。


ルオーのキリストからも、
こうした孤独や悲しさを感じてしまうんです。
そして、痛みに黙って寄り添ってくれるのが、
ルオーの作品のやさしさなのかなぁって。
昨日ちょっと嫌なことがありまして、
家に帰ってパナソニック汐留ミュージアムで買ったルオーの図録を見ながら
そんなことを思った次第です。
(そのまま寝落ちして朝を迎えました……)



さてさて話は変わって、ゴールデンウイークですね。
ぼくは暦通りのお休みなんですけど、
えーとえーと
予定が何にもないです(涙)
せっかくなので、関東近郊で行ったことがない美術館に足を伸ばしてみようかと。
いつもの休日とあまり変わらない気もするけど。。



今日も明日もがんばろう。
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-2 Comments

ちいさなレモン says..."こんにちは♪"

ワタシがこちらに初めて伺ったのは、ルオーのこの場所でした。

遠藤周作の本も持っていました。(^ー^)


どの記事も、楽しんで拝見させていただいています♪

2013.03.04 12:58 | URL | #- [edit]
スエスエ201 says..."Re: こんにちは♪"
> ちいさなレモンさん

こんにちは♪
おお、ルオー×遠藤周作ですね。
「イエスの生涯」は、とても勉強になる一冊でした。
こういうストーリーを知ると、ルオーの作品も一層深みを増して見えてきますね。
2013.03.06 15:30 | URL | #- [edit]

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