足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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アルテミジア「ユディトとホロフェルネス」(カポディモンテ美術館展 その2)

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個人的に、カポディモンテ美術館展で一番見たかったのが
アルテミジア・ジェンティレスキの「ユディトとホロフェルネス」。
中野京子さんの「怖い絵」(1巻)でその存在を知ったんですが、
実物は・・・やっぱり「怖い」の一言でした。


ユディトとホロフェルネス
Giuditta e Oloferne(1612-13)
Artemisia Gentileschi




怖い怖い痛い痛い遺体遺体。
女性恐怖症に陥りそうな、目を背けたくなるような惨劇です。
物語の主人公ユディトは、ユダヤ人の寡婦。
彼女の住む街がホロフェルネス将軍率いるアッシリア軍に包囲されたとき、
ユディトは召使いとたった2人でホロフェルネスの陣営に忍び込みます。
美しく着飾った彼女は宴に招待され、
したたかに酔ったホロフェルネスが眠りにつくと・・・
ギコギコギコ、ギャーーーーーー というわけです。


突然の激痛に目を覚まし、召使いの首を鷲掴みにするホロフェルネス。
しかし既にその目に力はなく、半開きの口からも死が近いことが分かります。
そして非情にも彼の髪をむんずと掴み、手を休めないユディト。
その顔には微かに笑みが浮かんでいるようでもあり、
少なくとも凶行に及ぶ危機感はあまり感じられず、
淡々とおのれの仕事をこなしているような、そんな印象です。
男性だったらこの絵を見たら、本能的にやばいと思うでしょ。


この絵はもともとはカラヴァッジョの作品だと考えられていたとか。
カラヴァッジョ自身、同様の題材の作品を残しており、
構図も似ていることからアルテミジアが参考にしたことが指摘されています。
個人的には、いやいや首を斬ってるようなカラヴァッジョの作品のほうが
なんとなく救いがあって好きですが(どっちみち殺してるんだけど)、
衝撃度が高いのは圧倒的にアルテミジアのほうですね。
カラヴァッジョのユディトが線の細い女性なのに対して、
アルテミジアのユディトは腕が太くてマッチョな印象ですし
このへんにもリアリティを感じます。

ユディトとホロフェルネス



なぜアルテミジアの「ユディトとホロフェルネス」がここまでリアルなのか。
そこに、アルテミジア自身の悲劇を重ね合わせる説もあります。
彼女はかつて、遠近法を習うために
風景画家アゴスティーノ・タッシの元に通っており、
そこでプレイボーイのタッシに手篭めにされてしまうんですね。
結婚の約束までしたというのに裏切られ、彼女はタッシを告発します。
しかし裁判の結果、タッシが受けた処罰は軽いものでした。
裁判の翌年、1612年ごろにアルテミジアは
「ユディトとホロフェルネス」を発表します。
タッシに対する怒りが彼女を突き動かしたのか、
それとも彼女の尊厳を踏みにじった法廷に対しての怒りが筆をとらせたのか。
いずれにせよ、この絵を見ていたらタッシは生きた心地がしなかったでしょうね。


アルテミジアは裁判からしばらくして再婚し、
生涯で5点、同様の主題の作品を残したそうです。
そのへんを考え合わせても、
単純に男性への怒りが原動力だったわけではないと僕は思います。
むしろしたたかに、この題材を利用したのかもしれません。


ちなみに中野京子さんの「怖い絵」で紹介されているのは、
ウフィツィ美術館所蔵の1620年ごろの作品。
基本的な構図はカポディモンテ美術館のものと同じですが、
衣装がまったく違うのと、ユディトの表情が緊迫したものになってますね。
それからこっちの方が剣の質感がリアルです。
カポディモンテの方は、これだけすごい作品なのに
剣先が何とも平面的というか、ペラペラした印象で
それだけがもったいないなぁなんて思ったり。

ユディトとホロフェルネス



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