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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ピサロ「エラニーの牛を追う娘」

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GW最終日の5月6日、
前々から気になっていた宇都宮美術館に行ってきました。
めずらしく友達と、いわゆる旅猿みたいな。
お目当ては「カミーユ・ピサロと印象派 永遠の近代」です。


ピサロ「エラニーの牛を追う娘」
 Vachère à Eragny(1884)
 Camille Pissarro




こちらはピサロ「エラニーの牛を追う娘」。
実物はもう少し暖色が強めで、柔らかな光が印象的でした。
ピサロは印象派展の1回目から8回目まで
律儀に出品し続けた唯一の画家であったり
気難し屋のセザンヌに野外制作の素晴らしさを教えて慕われたりと、
印象派の最年長として、とかく作品そのものよりも
人柄で語られがちな画家なわけですが……。
展覧会で彼の画業を振り返って見てみると、
確かに印象派の画家たちのなかでは地味な作風ではあるけれど、
ぶれない暖かさというか優しさというか詩情にあふれていて。
やっぱり絵に人柄があらわれているんでしょうねぇ。
エミール・ゾラがそんなピサロをツンデレ的に
紹介しているコメントがあるのでご紹介。


目にはまったく楽しいものではない。
深刻で厳粛な種類の絵画、
真実と正確さに対する並外れた配慮、
鉄のごとき意志。
まったく馬鹿の一つ覚えのように
君は生真面目にすぎる。
しかし君のような芸術家を私は好む。
          (エミール・ゾラ)




どうでしょうか。
見事にピサロという画家の作風を言い当てた台詞だと思うのです。
のどかで、心地よくて、見ているだけで幸せになれる。
たとえ退屈でも、楽しくなくてもいいんです。
「誰も見向きもしないような辺鄙な場所に美しいものを見る人こそ幸福である」
ピサロのこの言葉は、そのまま彼の絵にも当てはまると思うんだなぁ。


ところで今回、一緒に宇都宮に行った友人は
ほぼ美術館初体験でした。
最初にピサロ展はちょっと難しかったかなーとも思いつつ、
なんだかんだで楽しんでたみたいで良かったです。
何より美術館の環境がね。
広々としてて人も少なめで静かだし、
まわりには見渡す限りの緑。
こんな素敵な環境で美術鑑賞なんて、
最高のぜいたくでございますよ。
これが男同士でなかったら……それを言ったらおしまいか(笑)




今日も明日もがんばろう。
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