アンニーバレ・カラッチ「リナルドとアルミーダ」(カポディモンテ美術館展 その3)
トルクァート・タッソによる叙事詩、「解放されたエルサレム」。
この物語から生まれた絵画作品が、
アンニーバレ・カラッチの「リナルドとアルミーダ」です。
まずはこの、官能的な絵画作品をご覧あれ。
Rinaldo e Armida(1601-02)
Annibale Carracci
草花が生い茂る宮殿で体を寄せ合う男女。
右側の女性が魔女アルミーダ、
そして彼女に身を任せている男性が、騎士リナルドです。
元々は敵対し、リナルドを魔法で眠らせて
殺害しようとしたアルミーダですが、
リナルドの美貌に心を奪われ、
彼を自身の宮殿へと誘拐してしまいます。
この部分に関しては、同じくイタリアの画家、
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの「アルミーダと眠るリナルド」をご参考に。
これもまた、鮮やかな色彩と構図が圧巻の傑作です。
Armida rapisce Rinaldo dormiente(1742)
Giovanni Battista Tiepolo
アルミーダによって骨抜きにされたリナルドですが、
彼を救いにきたのが画面左上の2人の騎士、クロタルコとウバルド。
彼らはリナルドに鏡を渡し、
堕落した自身の姿に気づかせようとするのです。
といったストーリーがあるわけですが、
実際にカポディモンテ美術館展でこの作品を見たときは
愛を囁き合う幸せな2人と、
他人の恋路を覗き見る不埒なおっさんたちという印象でした。
木の節もなんだか瞳のように見えてくるし、
かくいう自分も見てはいけないものを見てしまったような、
何とも不思議な気持ちに苛まれ・・・。
この臨場感こそが、本作の魅力なのかもしれません。
いつの間にか鑑賞者という立場を忘れて絵の世界に引き込まれてしまう、
これもまたアルミーダの魔法なのかも。
アンニーバレ・カラッチは16世紀イタリア、ボローニャ派の画家。
「豆を食べる人」で有名ですね。
カポディモンテ美術館展で似たような名前が並んでいて
「あれ?」と思った方もいるかもしれませんが、
彼の兄がアゴスティーノ・カラッチです。
彼ら一族は画学校を作り、イタリア絵画の発展に貢献したことで知られています。
グイド・レーニもこの学校の出身だとか。
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