尾形光琳「八橋図屏風」
5月といえば、根津美術館ですね。
庭園のカキツバタに加えて、
尾形光琳の「燕子花図屏風」を一般公開!
さらに今年は、メトロポリタン美術館所蔵の
「八橋図屏風」を並べて見ることができるのです。
Eight Bridges(18th century)
Ogata Korin
ということで、根津美術館の「KORIN展」より
尾形光琳「八橋図屏風」です。
国宝「燕子花図屏風」を制作してからおよそ10年を経て、
再び光琳が描いたのはカキツバタの群生。
金地に群青と緑青で踊るように描かれた花々は
「燕子花図屏風」と同様ですが、
大きく異なるのは……橋の存在です。
そもそも両作品は伊勢物語という古典の一場面を描いたもの。
八つの橋を渡したことから「八橋」という名をつけられた場所があり、
そこに咲き誇るカキツバタを見て、在原業平が歌を詠みます。
それが有名なこの歌。
唐衣きつゝなれにしつましあれば はるばるきぬる旅をしぞ思ふ
それぞれの句の頭文字をつなげると、「かきつばた」になります。
古文の授業で習いましたよね。
ちょっと話がそれてしまいましたが、
そんなわけでこのカキツバタ、橋とセットで描かれるのが通例なんです。
ところが「燕子花図屏風」では大胆にも橋を描かなかった。
花の表現もおおらかで柔らかい印象で、
型紙を使ってクローン的に描き込んでいることでも知られています。
非常に実験的な作品で、
「思いついちゃったもんねー!」という鼻高々な声が聞こえてきそう(笑)
「燕子花図屏風」右隻。踊るように咲く。
一方、後者の「八橋図屏風」では橋をしっかり描き込んでいます。
花の表現もより細かくて、
どことなくとんがった印象で緊張感が漂っていました。
こちらは型紙を使わず、金箔の上に直接絵の具を載せていったそうです。
ものすごく難しい技法で、相当な腕がないとできないみたい。
「超絶技巧を見せてやるぜ!」という鼻高々な声が聞こえてきそう(笑)
「八橋図屏風」右隻。雷のように橋がわたる。
こんな感じで、両者を並べて見比べてみるといろんな発見があって面白いです。
なんせ、合わせて展示されるのはおよそ100年ぶりだそうですから。
「100年ぶり」っていうのが何か、自分にとっては勇気の出る響きで。
どれだけ時間がたったとしても、色褪せないものがあるっていうのが。
意味不明ですよね。すんません。
それでは最後に、根津美術館のお庭のカキツバタを。
今日も明日もがんばろう。
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