高橋由一「芝浦夕陽」
東京藝術大学大学美術館の「高橋由一展」。
なんといっても注目は3枚の「鮭」なんですけど、
個人的に心ひかれたのは風景画のほうでした。
由一が描く夕景は、そりゃあもうロマンチックで。
The Setting Sun at Shibaura(1877)
Takahashi Yuichi
こちらは高橋由一「芝浦夕陽」。
2年前に府中市美術館の企画展
「バルビゾンからの贈りもの」でも展示されていた作品で、
あらためて素敵だなーとほれぼれしました。
リアリズムを追求し、匂いまで描き込まれていそうな「鮭」とは正反対に、
ここで描かれるのは情感に満ちた海辺の風景。
感傷的で、胸をわしづかみにされそうで。
思わず目をつぶって対話したくなる。
時は明治10年頃、
巷では蒸気機関が走り、街路は整備され、
“散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする”時代。
でも由一が描いた「芝浦夕陽」は、
そんな時代の流れから取り残されたような
古き良き漁村の風景です。
失われゆく原風景を絵画として残そうとしたのかなぁ。
東京藝術大学大学美術館の展覧会
「近代洋画の開拓者 高橋由一」は、6月24日まで。
その後京都国立近代美術館に巡回します。
今回ご紹介した「芝浦夕陽」は東京でしか見られませんが、
その代わりに京都ではあの「豆腐」が展示されます。
豆腐に鮭、なんてうらやましい!
今日も明日もがんばろう。
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