カイユボット「ピアノを弾く若い男」
今日は仕事の合間に、ブリヂストン美術館に行ってまいりました。
開館60周年記念の「あなたに見せたい絵があります。」という企画が
前々からずっと気になっておりまして。
おなじみ東京のブリヂストン美術館と
福岡の石橋美術館の名品を集めた展示なんですが、
一番のお目当ては……新収蔵品のこちらでした。
Young Man Playing the Piano(1876)
Gustave Caillebotte
ギュスターヴ・カイユボット「ピアノを弾く若い男」。
オルセー所蔵の代表作「床削り」とともに
第2回印象派展に出品された作品で、
印象派を経済的に支え続けた画家ながら、
その作風はきわめて精緻で写実的。
光と影に心を寄せたという共通点はあるにせよ、
やっぱりカイユボットはカイユボットなのだと、あらためて思いました。
薄暗い室内で、ピアノを弾く若い男。
画面左に大きくとられた窓から光が差し込んでおり、
ピアノの黒に連なる影が強調されています。
男の衣服もグレーですし、全体的には落ち着いた、暗い色合い。
でも、画面の多くを黒が占めているのに、この透明感は何なんだろう……。
ピアノの天板には壁紙が映り込んでおり、
そのせいでピアノが半透明なように錯覚してしまったのです。
よく見れば鍵盤と、男性の両手も鏡のように映っています。
この鏡面効果が作品の透明感に結びついているんでしょうね。
そのうちピアノが室内の風景に溶け込んで、消えていってしまいそう。
静けさのなかにピアノの音だけが残り、
閉じられたはずの窓からはそよ風が吹いてきそうだ。
それにしても、カイユボットの作品は目にする機会が少ないので、
ブリヂストン美術館で常設展示してくれると嬉しいなぁ。
ブリジストン美術館の開館60周年記念展は、6月24日まで。
年代別に作品を並べるのではなく、テーマ別で展示しているのも
分かりやすくてありがたいです。
作品ごとの解説文も、
きっと小学生くらいの子どもが読むことを想定しているんでしょう。
なるべく難しい言葉を使わず噛み砕いた表現に徹しているのが好印象でした。
次回以降も、しばらくこの展覧会の作品を紹介していきたいと思います。
今日も明日もがんばろう。
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