シャガール「画家の夢」
マルク・シャガール、なんと93歳のときの作品。
年老いて、筋力も衰えた画家が描いた絵は
それでも色彩が優雅に戯れていて、
近くで見ればずいぶん雑な塗り方なのに
ちょっと遠くから見れば途端に全体がやわらかくなって、
あぁ、やっぱり幻想的でした。
Le rêve du peintre(c.1980)
Marc chagall
シャガール「画家の夢」。
夢を意味するフランス語「rêve」には
幸福、空想、希望という意味もあるそうで、
なるほど見るだに幸せそうな一枚です。
抱き合う男女がいれば、花やろうそくを持った人々の姿も。
おなじみのロバや鶏もいるし、バイオリンを持った人もいるし。
左下には、竪琴をもつダビデ王も描かれています。
そして、人々から一歩離れたところにいる男性は画家自身でしょうか。
パレットを片手に磔刑図を描いており、
後ろには天使が寄り添っていますね。
画面にたくさん描かれているのは、
シャガールが人生で出会った人々なのかな。
苦労もたくさんあったけど、きっと幸せな人生だったのでしょう。
この「画家の夢」は日本橋の高島屋で開催していた
「シャガール 愛をめぐる追想」という展覧会で見たんですが、
会場には晩年のシャガールの写真も展示されていて、
これがまたものすごく素敵な笑顔なんです。
人生の苦渋や老いの悲哀なんてまったく感じさせない、
ほれぼれするような表情でした。
こんなおじいさんになりたいなぁ、なんて思いながら。
今日も明日もがんばろう。
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