ルーベンス「聖母被昇天(下絵)」(マウリッツハイス美術館展より)
「フランダースの犬」の主人公ネロが、
足しげく通って見つめたというルーベンスの作品。
天使達に囲まれて天に召される聖母マリアに、
ネロは母親の面影を重ねていたのだとか。
ルーベンス「聖母被昇天」。
この作品の下絵が、東京都美術館の
「マウリッツハイス美術館展」で展示されています。
‘Modello’ for the Assumption of the Virgin(1622-1625)
Peter Paul Rubens
会場に入ってすぐ、
展覧会恒例の挨拶文を見ていると、
左手のカーテン越しに作品がチラチラ見えるんですよね。
躍動感あふれる構図、そして青。
遠目からでも、バロックの巨匠の作品だとわかるくらいの存在感。
何という高レベルなじらしプレイ……!!
絶対ねらって配置してると思うんだよなぁ。
中身のない墓を見て驚愕する男性、嘆き悲しむ女性。
画面左に目を転じると、上を向いて両手をかかげている女性がいて……。
その先には、まさに今、天に昇ろうとするマリアの姿。
天使達によって昇天させられたから、
「聖母昇天」ではなく「聖母被昇天」なんだそうです。
下絵とはいえ、このインパクトはやっぱりすごい。
筆の運びは速く粗いようにも感じるけれど、
それがかえって生々しいというか、
偉大なる画家の真髄に触れたような気がして。
実物はもっとすごいんだろうなぁ。
「真珠の耳飾りの少女」の青も素敵だけど、
ルーベンスのこの青も是非注目してほしいです。
ところでマウリッツハイス美術館展では、
このルーベンス「聖母被昇天」と並んで
ヤン・ブリューゲル(父)とヘンドリック・ファン・バーレンの
「四季の精から贈り物を受け取るケレスと、それを取り巻く果実の花嫁」
という共作が展示されていました。
かの大画家ピーテル・ブリューゲルの息子であるヤン・ブリューゲルは
静物画や風景画を得意とし、実はルーベンスとも共作したことがあります。
それが「楽園のアダムとイブ」という作品で、
マウリッツハイス美術館の収蔵品なんですね。
う~む、一緒に来日してくれればよかったのになぁ。
ルーベンスとヤン・ブリューゲルの共作「楽園のアダムとイブ」。残念ながら来日せず。
今日も明日もがんばろう。
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