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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ブリューゲル「貪欲」(ブリューゲル版画の世界 その2)

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「ブリューゲル版画の世界」で
ぜひ見たいと思っていたのが、「7つの罪源」シリーズ。
「貪欲」「傲慢」「激怒」「怠惰」「嫉妬」「大食」「邪淫」の7つからなり、
前回紹介した「聖アントニウスの誘惑」と同様に
ヒエロニムス・ボス風の怪物たちが跳梁跋扈する幻想風景。
今回から1つずつ、順に紹介していきたいと思います。


貪欲
Avarice(1558)
Pieter Bruegel the Elder



まずは「貪欲」。
下部の銘文は、
「飽きることなく貪欲な者に、どのような恐れあるいは恥の感覚があろうか」
「名誉も礼節も、恥も神による警告も、お金を掻き集めている貪欲の目には入らない」


中央下部には幸せそうに金勘定をする女性の姿。
その後ろの小屋は質屋でしょうか?
巨大な鋏に挟まれた哀れな人間は、
借りた金を返さなかった罰を受けたのか、
見せしめのためにさらしものにされているのか。
その左手には、怪物に背中を押される裸の人間。
これから質屋に金を借りにいくのか、
それとも鋏で処刑されるのか。


画面のいたるところで、金銭に群がるあさましい人間たち。
そんな私利私欲にまみれた人間と、同列に描かれる怪物たち。
戦争における略奪を連想させる、なんとも怖い作品です。


この「貪欲」というテーマは、
「金銭の戦い」という作品でより象徴的に描かれています。
こちらでは金銀財宝を収める壷や宝箱、巾着などが擬人化され、
相争う野蛮で残忍な光景が展開されます。
お金のことで争いにつながったこと、皆さんもあるのでは?
何とも耳の痛い作品です。

金銭の戦い
The Fight over Money(after 1570)
Pieter Bruegel the Elder



「ブリューゲル版画の世界」は8月29日までの開催。
公式ホームページはこちらです。



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