ブリューゲル「傲慢」(ブリューゲル版画の世界 その3)
ピーテル・ブリューゲルの「7つの罪源」シリーズ。
2番目に紹介するのは「傲慢」です。
Pride(1558)
Pieter Bruegel the Elder
下部の銘文は、
「傲慢な者は神々を愛することがなく、神々によって愛されることもない」
「傲慢は神が何にもまして憎むもの、同様に神もまた傲慢から無視される」。
もともと「傲慢」は、7つの罪源の中でも最も罪深いとされていたとか。
敬虔な宗教徒にとっては、神を恐れぬ態度こそ罪悪だったのです。
下部中央には、鏡に映る自分の姿を見つめる女性。
画中で着飾っているのはこの女性だけで、
その横には、「傲慢」を象徴する動物として孔雀が配置されます。
後景では建物内で焚刑が執行され、
釜茹で(?)に処される人間の姿も。
異形の怪物たちがあちこちで悪さをし、
しかし周りの異常な光景には目もくれず、
ただ一心に鏡をのぞく女性の姿こそ「傲慢」そのものなのでしょう。
ところで女性が手にしている鏡ですが、
そこに映った顔が妙に簡略化されているのが気になります。
まわりの怪物と変わらないんじゃないか・・・。
どんなに美しく着飾っていても、
鏡だけは真実を捉えているのかもしれません。
「ブリューゲル版画の世界」は8月29日までの開催。
公式ホームページはこちらです。
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