足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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船田玉樹「暁のレモン園」

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引き続き、練馬区立美術館の「船田玉樹展」より。
暗い海にうかぶ夜光虫のように、
闇のなかで点々と光るレモン。
明け方の微かな光をうけて輝いているのでしょう。
船田玉樹「暁のレモン園」。
不思議と心が落ち着く一枚です。


船田玉樹「暁のレモン園」
 Sunset at Lemon Farm(1949)
 Funada Gyokuju




さて、前回の続き。
孤高の画人生を貫き、めまぐるしく画風を変えていった船田玉樹ですが、
1974年、62歳のときにくも膜下出血で倒れてしまいます。
目も見えず、手も足も動かせない状況。
回復は難しく、仮に持ち直したとしても重い後遺症が残ると言われ……
しかし病状は奇跡的に快方に向かいます。
右半身の自由を奪われながらもあくまで右手に筆を持つことにこだわり、
和紙に向かったときに筆先から滴った水墨のにじみ。
以降、玉樹は取り憑かれたように抽象的な形象に挑みます。
水墨をたらすことからはじめ、自画像を描き、
そうして右半身の自由を取り戻していきます。


冒頭でご紹介した「暁のレモン園」は
玉樹が30代のときの作品ですが、
闇のなかで確かに光るレモンは
画家がこれから進む困難な道のりと、
そのなかの希望をあらわしているようで
なんだか感慨深いものがあります。
選んだ道は孤独で遠いけれど、いざとなれば立ち返るべきところがある。
自分のなかに確かなものがあればこそ、
様々な画風に挑み続けることができたのかもしれません。
そうして病後に描いた大作のひとつが、前回ご紹介した「臥龍梅」。
あの力強い形象も納得ですね。




それでは最後に、玉樹の詩を。


「旅人」

烏合の衆に背をむけ
一人とぼとぼ哀れ気に行き
よたよた自分の道をさがす
枯野の旅人になろう

旅人の心にかへろう
かなしい人の心を知ろう
日のくれぬうちに少しいそごう
あそこ迄行かう





今日も明日もがんばろう。
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独座の宴―船田玉樹画文集独座の宴―船田玉樹画文集
(2012/07)
船田 玉樹

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-2 Comments

まろ says..."奇遇"
またまた奇遇というのでしょうか。私も昨日「船田玉樹」展を観て来たばかりでした。さっそくブログにUPしてこちらを覗いたら「ああ、そうなんだ!」と驚き、ちょっと嬉しくなってしまいました。
全く知らない画家だったので、それほど期待せずに入ったのですが、「花の夕」や「暁のレモン園」の前では圧倒されるような思いで立ちつくしてしまいました。
晩年の「河童」シリーズも味わい深く詩もよかったですねえ。
私は「孤高」にも「異端」にも「正統」にも縁がありませんが、こういう揺るぎない生き方、常に新しいものを求める貪欲さを心から羨ましいと思いました。
2012.07.19 15:17 | URL | #Koy3t6Qg [edit]
スエスエ201 says..."Re: 奇遇"
> まろさん
おお、早速行ってらっしゃいましたか♪
「花の夕」「暁のレモン園」は前に国立近代美術館で見たことがあって、
そのときから玉樹ファンになってしまいました。
揺るぎない生き方をしつつ、一方で河童シリーズみたいな絵を描いてしまう人間臭さも素晴らしいなぁと(笑)
途中で展示替えがあるみたいなので、できたらもう一度行きたいと思ってます。
2012.07.20 00:38 | URL | #- [edit]

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