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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

上村松園「夕暮」(上村松園と鏑木清方より)

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夕暮れ時。
障子をあけて外の光をたよりに針に糸を通す。
上村松園が描いた市井の美しい女性像「夕暮」は、
幼い頃の母の姿をモチーフにして描かれたのだそうです。
「徳川期の美女に託して描いた母への追慕の率直な表現であり、
私の幼児の情緒への回顧でもあります」と、
松園は手記のなかで作品について語っています。


上村松園「夕暮」
 Twilight(1941)
 Uemura Shoen




なんということはない、当時はありふれた光景だったのでしょう。
しかし入日の赤い光のなかで針の穴を見つめる姿は、
松園にとって「この上なくひとすじに真剣な、あらたかなものに想はれた」。
彼女が描き続けた美人画とは少しだけ趣のちがう、
安らぎのある作品だと個人的に思っています。
一昨年の上村松園展でも出品されていた作品ですが、
あらためて素敵だなぁとしみじみ思いました。


平塚市美術館の「上村松園と鏑木清方」では、
この「夕暮」のとなりに「晩秋」という作品が展示されていて、
こちらも日常のさりげない姿を美しく描いた、松園晩年の作品。
ぜひ合わせて見ていただきたい名品です。




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