シャルダン「木いちごの籠」(シャルダン展より)
先週の話になりますが、
いよいよシャルダン展が開催! ということで
三菱一号館美術館まで行ってまいりました。
フランスが誇る静物画の巨匠、
ジャン=シメオン・シャルダンの作品のみで構成された
なんともぜいたくな展覧会でした。
La Panier de fraises des bois(c.1760)
Jean Siméon Chardin
こちらはシャルダン「木いちごの籠」。
展覧会のチラシやポスター、図録表紙にも使われてますね。
画家の晩年の代表作でありながら現在は個人所蔵ということで、
20世紀後半以降は1979年、1999年の国際巡回展と
2011、12年のイタリア・スペイン巡回展でしか出品されなかったのだとか。
ピラミッド型に盛られた真っ赤な木いちご、
手前には2本の白いカーネーション。
グラスに注がれた水はどこまでも透明で、
影のなかに色彩がたたずんでいるような
詩的な静けさに包まれた作品です。
シャルダンはアカデミーの会員であり、
ルーブル宮の敷地内に居室を与えられるほどの画家でしたが
没後、その名を忘れ去られてしまいます。
彼の再評価を進めたのが、フェルメール発見の重要人物でもある
トレ=ビュルガーという批評家。
展覧会でシャルダンの作品を見ていて、
フェルメールの静けさに通じるものを感じましたが
こんな経緯があったとは……。
フェルメールが光のなかの静けさだとしたら、
シャルダンは影に寄り添った静けさといったところでしょうか。
シャルダンは現存する作品が少なく、
日本でお目にかかれる機会はあまりないようです。
今回の展覧会では計38点が出品されていますが、
地方巡回はなく、次にまとめて見られるのはいつになるやら……といったところ。
ちなみに明日(9月17日)までなら、
この38点に加えてもう1点だけ東京都内で見ることができます。
上野の国立西洋美術館で開催中の「ベルリン国立美術館展」。
空前のフェルメール熱で沸き立つ上野に、
さりげなくシャルダンの作品が展示されているのですよ。
お時間のある方は、ぜひあわせてご覧になってはいかがでしょうか。
今日も明日もがんばろう。
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