足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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シャルダン「食前の祈り」(シャルダン展より)

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これまでシャルダンのことを「静物画の巨匠」みたいに紹介してきましたが、
実際には静物画だけを描いていたわけではありません。
風俗画に転向した時期があり、それもまたすばらしいのです。
静物画に卓越した画家だからこそ描ける、人間の静かな営み。
今回はそんな作品を紹介したいと思います。


シャルダン「食前の祈り」
 Le Bénédicité(c.1740)
 Jean Siméon Chardin





こちらはシャルダン「食前の祈り」。
小さな手をあわせて食事の前の祈りを捧げる子どもたち。
手前の子どもは途中で祈りの言葉に詰まってしまい、
お姉さんが心配そうな表情で見つめています。
母親は静かに立ちあがり、愛する子どもに教え諭そうとする——。
フランス市民のさりげない日常が、この一枚に描かれています。
ちなみに手前の子どもは女の子の格好をしていますが、
実は男の子なのだそうです。
当時は男児のほうが死亡率が高かったため、
ある程度成長するまでは女の子の服装をさせていたそうです。
ルノワールの「シャルパンティエ夫人とその子どもたち」でも
同じように女装をした男の子が描かれていますし(リンク先、画像中央の子ども)、
近代まで続いた風習だったのでしょう。


この作品はもともとルイ15世に献上された同題作品のレプリカで、
3年前のルーブル美術館展でも来日していました。
この展覧会には行けなかったので、ぼくは今回が初対面ということになります。
さらに今回の三菱一号館美術館の「シャルダン展」では、
エルミタージュ美術館所蔵の同題作品を並べて見ることができます。
ロシアのエカチェリーナ2世が、シャルダンの大ファンだったのだとか。
ぱっと見は完全に同じ構図なのですが、
2つの作品には一部分だけあきらかな違いがあります。
これからシャルダン展に行かれる方は、ぜひ違いを探してみましょう。



シャルダンは1699年にパリの下町、セーヌ通りで生まれました。
父親はビリヤード台を作る職人で、
今回の展覧会ではビリヤードの風景を描いた作品も展示されています。
その後、代表作「赤えい」「食卓」によってアカデミーに受け入れられ、
動物と果実に卓越した画家として評判を得るようになります。
風俗画を描き始めたのは1733年ごろから。
静物画に比べて格上のジャンルとされていたこと、
当時のコレクターの間で風俗画が流行していたことなどが影響しているようです。
もともとシャルダンの顧客は画家や批評家だったのに対し、
風俗画に転向してからはスウェーデン王妃、プロイセン王、ロシア皇帝といった
そうそうたる顔ぶれが彼の風俗画を注文したといいます。
「シャルダン展」で展示されている38点のうち、風俗画は計10点。
いずれも上品で、もの静かで、静物画家としての本領が
こちらでも発揮されているように感じました。


やがてシャルダンは風俗画から手をひいて、
再び静物画に回帰します。そこで描かれたのが、
先日紹介した「銀のゴブレットとりんご」などの作品。
「シャルダン展」では初期静物画、風俗画、後期静物画といった形で
展示内容が分かれているため、
初期と後期で彼の静物画がどう変わったかを探るのも面白いと思います。


現存するシャルダンの作品は計238点。
そのうち38点が今回三菱一号館美術館に集まっています。
どちらかといえば玄人好みの展覧会かもしれませんが、
一度足を運んでみれば、静かな作品群が紡ぐ
独特の雰囲気にきっと引き込まれるはずですよ。




今日も明日もがんばろう。
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