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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

月岡芳年「月百姿 —玉兎 孫悟空」(月岡芳年展より)

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月岡芳年、晩年の傑作「月百姿」。
月にまつわる歴史上の人物・逸話を題材としたもので、
その名の通り100種におよぶ大作です。
美人画、歴史画、戯画、妖怪変化と描かれた図様はじつに幅広く、
芳年の画業の集大成と呼ぶにふさわしい出来映え。
そこで今回は、「月百姿」のうちの一点、
「玉兎 孫悟空」をご紹介します。


月岡芳年「月百姿 —玉兎 孫悟空」
 100 Aspects of the Moon − Gyokuto - Songoku(1889)
 Tsukioka Yoshitoshi




画面からはみ出すほどの巨大な月を背景に、
朱塗りの如意棒を振りかざす孫悟空。
視線の先にはかわいらしいウサギさん。
実はこのウサギさん、「玉兎」といって孫悟空の敵なんですね。
天竺の公主が偽物であることに気付いた悟空が、
にせ公主に襲いかかり一撃を加えようとしたところ、
太陰星君(月神)があらわれ、その正体が
月から逃げ出した玉兎であると明かした、といったお話です。


戦っているというより、どこか戯れているようにも感じられるのは、
やや芝居がかった孫悟空のポーズのせいでしょうか。
如意棒の先端だけが枠からはみ出しているのも、心憎い演出ですね。
これによって孫悟空が手前に浮き出して見えてきます。
真横を向いた孫悟空と、上体をひねって正面を見据える白兎の対比もおもしろい。
構図、色彩の配置、悟空の造型など、文句なしに素晴らしいです。
こういうのは少年心を刺激されますしね(笑)


太田記念美術館の「没後120年記念 月岡芳年」では、
前期・後期あわせて「月百姿」のなかから6点が展示されます。
「玉兎 孫悟空」のような躍動感あふれる作品から、
江戸っ子気質を感じさせるものや月夜の哀切を描いたものまで
千変万化の月物語を堪能できますよ。




今日も明日もがんばろう。
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