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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ゴッホ「糸杉」(メトロポリタン美術館展より)

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東京都美術館の「メトロポリタン美術館展」、
この作品を紹介するのをうっかり忘れてました。
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「糸杉」。
死の前年、南仏サン=レミの療養所に入院した直後に描かれた作品です。


ゴッホ「糸杉」
 Cypresses(1889)
 Vincent van Gogh




まるで黒い炎のように、うねり狂いながら天を突く糸杉。
大地も空も奇妙に歪み、
細くたわんだ三日月だけが静けさを保っています。
昼か夜かも分からない、異様な風景ですね。


実物を前にすると、まず絵肌の厚みに圧倒されます。
特に糸杉の緑。立体的に重ねられた色彩は
ありあまる感情を叩きつけたようでもあり、
見る角度によって表情を変えていきます。
今にもむくむくと盛り上がってきそうで、少し怖くなる。
糸杉が死の象徴であることを、ゴッホは知っていたのでしょうか。


糸杉はゴッホにとって重要な主題であり、
「エジプトのオベリスクと同じくらい美しい線と均衡を備えている」
「最も興味をそそる黒の色調」
「想像しうるかぎり正確に表現するのが最も難しい」
といった言葉を残しています。
そういえば「星月夜」にも糸杉が描かれていましたっけ。
それから2013年10月に国立新美術館で
「クレラー=ミュラー美術館展」が予定されていますが、
この美術館にも「糸杉と星の見える道」という作品があります。
来年秋に来日してくれたら嬉しいなぁ。



ゴッホ「糸杉と星の見える道」
 クレラー=ミュラー美術館所蔵「糸杉と星の見える道」




今日も明日もがんばろう。
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2 Comments

mitsukosann says..."みてきました!"
はじめまして。
17日、メトロポリタン美術館展へ行ってきました。
さすがにこのゴッホの「糸杉」には圧倒されました。しばしその絵の前に佇む事何十分だったでしょうか…。
決して楽しそうに描いてはいないような…^^;

もう2度とお目にかかる事はないかもしれませんから。

レンブラントの「フローラ」も素晴らしかったです。美しさの中にも哀しみや儚さが感じられるような、
胸がギュッとなるような思いがしました。

作者は忘れましたが「骨盤」もよかったです。
最後に飾られていた「月光」にもかなり惹きつけられるものがありました。
月の存在が観るものの想像を掻き立てるような…

とにかく行ってよかったです!

2012.10.20 23:22 | URL | #- [edit]
スエスエ201 says..."Re: みてきました!"
> mitsukosannさん

はじめまして、コメントありがとうございます。
「糸杉」、あれほどインパクトのある作品はなかなかないですよね。
ちょうど今日テレビでやっていて、思い出しながら見ておりました。
「骨盤」はオキーフでしたっけ。どこかシュルレアリスム的だなぁと。
「月光」を描いたホーマーの作品は先日大盛況のうちに幕を閉じた
ブリヂストン美術館のドビュッシー展でも出ていて(夏の夜)、
こんなに短期間で2つの月明かりを見れるなんてと大満足でした。

メトロポリタン展はとにかく作品の幅が広いだけに、
気に入るポイントがたくさんあっていいですね。
2012.10.21 01:12 | URL | #- [edit]

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