竹内栖鳳「和暖」(描き継ぐ日本美より)
皇居のなかにある、宮内庁三の丸肖蔵館。
会社のすぐ近くで、しかも無料で観覧できるので
お昼のついでに時々ぶらっと立ち寄ったりします。
20日からは「描き継ぐ日本美—円山派の伝統と発展」の
後期展示がはじまりますね。
ということで、ちょっと前に見に行った前期展示より
竹内栖鳳の「和暖」という作品(右隻)を。
Young Deer Gathering(1924)
Takeuchi Seiho
ぽかぽかと穏やかな春の情景なのでしょう。
寄り添いたわむれる3頭の鹿がおり、
真ん中で角を生やしているのが雄、
ほかの2頭は雌ですね。
秋頃に切り落とされたであろう2本の角は、
今また少しずつ枝分かれし、形を成しています。
丸みをおびた角の先は少しずつ鋭さを増し、
雄々しくなっていくのでしょう。
この作品で一番気に入ったのが、鹿の瞳でした。
春のやさしさを宿したようなつぶらな瞳に、なぜだか釘付けになってしまって。
竹内栖鳳という日本画家、動物の眼を描くのがすごく上手いと思うのです。
「班病」のいたずらそうなエメラルドグリーンの瞳は
実際の色彩とあえて変えているといいますし、
獅子や虎の冷たく澄んだ眼差しも、象の哀しげな瞳も、
あるいは小さな兎の茫洋とした瞳も、
思わず吸い寄せられてしまうような磁力を秘めている。
画竜点睛、そこにこそ命があらわれているんでしょうかね。
今日も明日もがんばろう。
![]() | 竹内栖鳳 (ちいさな美術館) (2009/11/20) 竹内 栖鳳 商品詳細を見る |
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