ルーベンス「キリスト哀悼」(リヒテンシュタイン展より)
青く変色したキリストの遺骸。
痛めつけられた肉体は容赦なくリアルに描かれ、
我が子のまぶたをそっと閉じようとする
聖母マリアの顔もまた、深い哀しみで青く染まっています。
ペーテル・パウル・ルーベンス「キリスト哀悼」。
国立新美術館の「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」より。
The Lamentation(c.1612)
Peter Paul Rubens
構図も強烈ですね。
キリストの体は対角線上に置かれ、
手前(下部中央)に投げ出された右足の描き方のせいか、
遠近感が強調されているのか、
あたかも目の前にキリストが横たわっているかのような臨場感です。
足裏の釘跡がなんとも痛々しく、
何もここまで描かなくても……と、そんなことさえ思ってしまう。
バロックを代表する巨匠、ルーベンス。
リヒテンシュタイン侯爵家は彼の絵を30点あまりも所蔵し、
世界有数の質と量を誇っています。
侯爵家による購入以降、持ち主が変わらず
描かれた当時の状態が保たれているため、
ルーベンスのみずみずしい油彩を鑑賞できるのもポイント。
国立新美術館の展示では、このコレクションから
実に10点もの油彩画と7点の関連作品が来日しています。
チラシやポスターでも使われている、
ルーベンスの愛娘を描いた「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」や
古代ローマの英雄を主題にした「デキウス・ムス」の連作など、
ルーベンス祭りといっても過言ではないくらいです。
油彩画10点のうち、4点は横幅2mを超える大作で、1点はなんと4m以上!
よくこんな作品を日本まで持って来てくれたものだと、
感嘆せずにはいられませんでした。
5歳の愛娘を描いた「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」。
ちなみにルーベンスといえば、
来年3月にはBunkamuraザ・ミュージアムで
「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」
という展覧会が予定されています。
こちらも楽しみですね♪
今日も明日もがんばろう。
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