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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

フランチェスコ・アイエツ「復讐の誓い」(リヒテンシュタイン展より)

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ヴェネツィアの水路を背景に、
何やら不穏な雰囲気を漂わせる2人の女性。
黒い仮面をかぶった怪しげな女性に対し、
もう一人は美しい顔をあらわにし、
相手から眼を背けているかのようです。
フランチェスコ・アイエツ「復讐の誓い」。
まるで映画の一幕のような、ドラマチックな一枚です。


フランチェスコ・アイエツ「復讐の誓い」
 Board of revenge(1851)
 Francesco Hayez




衣装からして、2人には明らかな身分の差があるのでしょう。
右側の女性の手元をよく見ると手紙を持っており、
左側の女性はその手を押しのけようとしています。
それとも、周囲に注意を払いながら
手紙を受け取ろうとしているのかもしれません。
そこには何が書かれているのでしょう。
復讐を誓うのは誰なのか、何のための復讐なのか。


国立新美術館の「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」で
展示されていたこの「復讐の誓い」という作品、
高さは2m以上もあり、画中の女性たちはほぼ等身大で描かれています。
簡略化された背景に比べて、彼女たちの描写は実に精緻。
透き通った肌、つややかな黒髪、風に揺れるヴェールなど
確かな技量でもって描かれたことが分かります。
そして彼女たちの存在がぐっと前面に押し出されて、
絵画が立体的に見えてくるんですね。


「復讐の誓い」は、アイエツの友人でコレクターの
アンドレア・マッフェイが書いた物語詩から着想を得て描かれたそうです。
どんな内容だったのか、非常に気になるところですね。
きっとそこに、「復讐」の意味も描かれているのだろうから。

フランチェスコ・アイエツ「告発の秘密」
 こんな作品も描いてるみたい。「Accusa segreta」、告発の秘密。手紙を持ってますね。



ところでヴェネツィア、水路、女性、仮面というと……
大島真寿美の小説「ピエタ」を思い出しました。
18世紀のヴェネツィアを舞台に、
作曲家ヴィヴァルディが遺した楽譜をめぐる物語です。
画中の女性の知的で強い意志を宿した表情は、
コルティジャーナ(娼婦)のクラウディアと重なるなぁ、なんて思ったり。
そういえば「ピエタ」の登場人物の一人、
カナレットの作品も今回展示されていました。
東京都美術館の「メトロポリタン美術館展」にも1点出てたから、
あわせて見るのもいいかもしれないですね。

カナレット「ヴェネツィアのサン・マルコ広場、鐘楼のある眺め」
 カナレット「ヴェネツィアのサン・マルコ広場、鐘楼のある眺め」。新美術館で見られます。





最後におまけ。ヴィヴァルディ「四季」より、「冬」。





今日も明日もがんばろう。
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ピエタピエタ
(2011/02/09)
大島真寿美

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