足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

川村清雄「形見の直垂(虫干)」(川村清雄展より)

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どことなく、不思議な雰囲気の作品です。
白の直垂をまとった少女は左手を伸ばし、
その先には、男性の胸像が。
その下方に見えるのは菊の花でしょうか……?
何やらいわくありげなこの作品、
川村清雄が生涯手放さなかったという傑作「形見の直垂(虫干)」です。


川村清雄「形見の直垂」



明治洋画の先駆者の一人、川村清雄。
維新からまもない明治4年に渡米し、
その後フランス、イタリアで油絵を学びますが、
帰国後は大蔵省印刷局に勤務するも人間関係で苦労し、
1年ももたずに退職してしまいます。
そんな清雄を支えた最大の理解者が、勝海舟でした。
幼少期から面倒を見ていたこともあり、
清雄のために自邸にアトリエを設け、絵画制作を斡旋するなど
彼の画業を手厚く支援したそうです。
勝海舟の奥さん曰く、「川村清雄は勝海舟の隠し子」とか(笑)

川村清雄「江戸城明渡の帰途 (勝海舟江戸開城図)」
 川村清雄「江戸城明渡の帰途(勝海舟江戸開城図)」。



1899年に勝海舟が亡くなったとき、
清雄は白の直垂を着て葬儀に参列しました。
「形見の直垂」に描かれているのは、このときに着た衣装なのだそうです。
勝海舟の胸像は古代の棺のうえに載せられており、
周辺にも勝が愛用した遺品が配され、
この作品が亡き恩人に捧げられたものであることが分かります。


勝海舟はかならず邸宅に清雄の作品を飾っていたそうです。
清雄もまた、この「形見の直垂」を終生手元に置き、
長いあいだ加筆し続けたのだとか。
江戸東京博物館の「維新の画家 —川村清雄」では、
こうした画家と周辺人物のつながりに触れることができるのですが、
そのエピソードや台詞がとても粋といいますか、かっこいいんですよね。
こういう熱い人間関係があってこそ、素晴らしい作品が生まれたんでしょうね。



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