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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

川村清雄「鸚鵡」(もうひとつの川村清雄展より)

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もうひとつ、川村清雄の作品を。
縦長の朱漆塗の板に描かれた「鸚鵡(おうむ)」という作品です。
突然飛び立った蝶におどろいて、羽を振り上げる白い鸚鵡。
ギョッとした表情がなんとも愛らしいですね。
ツルツルとした朱漆とは対照的な、油絵の具という質感の妙。
相性の悪そうな2つの材質を組み合わせ定着させるのも、
さまざまな支持体を駆使して作品を描いた清雄ならではの技術なのでしょう。
白と赤、油絵の具と朱漆という鮮烈な対比に加え、
黄色のバラがあざやかに空間を彩ります。


川村清雄「鸚鵡」
 Cockatoo
 Kawamura Kiyo




これまで2回にわたって江戸東京博物館の
「維新の洋画家 —川村清雄」を紹介してきましたが、
実は目黒区美術館でも川村清雄に焦点を当てた展覧会を開催してるんです。
その名も「もうひとつの川村清雄展」。
加島虎吉、青木藤作という2人のコレクターの作品を中心に、
川村清雄の魅力に迫るというもの。
特に加島虎吉は出版業を営みながら清雄を支援した人物で、
書籍や装丁のデザインを多く発注していたことから、
こうした出版関係の作品も多数出品されています。
油絵とはまた違った、モダンなデザインに触れることができます。


絹や板、鍋蓋などさまざまな素材を使った作品も見どころですが、
なかでも黒繻子の帯に描かれた作品は必見。
つるっとした光沢のうえに油絵の具を載せる荒技です。
しかも黒地のうえに、あえて黒の御車を描くという……。
日本画と洋画の長所を高い次元で織り交ぜた作品が川村清雄の魅力ですが、
ハイブリッドなのは描き方だけでなく、素材も、ということなんですねぇ。



江戸東京博物館では膨大な資料と主要作品をもとに
川村清雄の人物像を浮彫りにする展覧会だったのに対し、
目黒区美術館のほうはもっとシンプルに
作品と向き合える展覧会であると感じました。
まずは江戸博で全体像をつかんで、
そのあとで目黒区美の作品を堪能するのがいいかもしれないですね。
半券を持っていれば団体割引で鑑賞できるのも嬉しいです。
ぜひセットで見に行きましょう♪




今日も明日もがんばろう。
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