イヴ・タンギー「聾者の耳」
先日Bunkamuraに行った際、
めずらしくアンケートに記入してみました。
「見てみたい展覧会」みたいな項目があって、
たくさんありすぎて困ってしまったわけですが
一番企画してほしいのは……やっぱりこの人の回顧展かなぁ。
The Ears of a Deaf(1938)
Yves Tanguy
「もっとも純粋なシュルレアリスト」、イヴ・タンギー。
当ブログでも何度かご紹介していますね。
パリに生まれ、20代のときにキリコの作品を見て絵画に目覚め、
正規の美術教育を受けることなく独自の世界を切り開いた画家です。
今回ご紹介する一枚は東京国立近代美術館所蔵の「聾者の耳」。
話題のコレクション展「美術にぶるっ!」にも出ていました。
画面に点在するのは「生物的形態(biomorph)」と呼ばれる奇妙な物体。
昼夜の境もなく、砂漠とも海底とも、あるいは別世界ともとれる
不思議な空間が広がっていきます。
タンギーは海を愛した画家で
見習い船員として各地を航海した経験もあるといいますから、
やっぱりこれは海の底の風景なのかもしれないですね。
確かなものは光と影だけで、
そのほかの一切が幻のようにたたずみ、揺らめいています。
彼の作品の良さを言葉で表現するのは難しいんですが、
見ているとこう、心がなごむんですよね。
不可解で、どこか寂しげで、意味なんて何もなさそうなのに。
それが生命の根源であるかのような、懐かしさを感じるのです。
自分も輪廻のはるか彼方で、
こんな世界でこんな格好をしていたことがあるんじゃないか、なんて。
イヴ・タンギーの作品はなかなかお目にかかる機会がないんですが、
かつては神奈川県逗子市にイヴ・タンギー美術館があったのだとか。
所蔵するタンギー作品は、なんと41点。うわぁすごい。
閉鎖してしまったのが悔やまれます。。
さてさて、明日はひさびさの関西出張です。
早起きして、打ち合わせの前に国際美術館に行こうかと。
エル・グレコ展、来年東京にも巡回するんですが待ちきれなくて。
仕事よりもこっちがメインになりそうだな(笑)
今日も明日もがんばろう。
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