速水御舟「紅梅・白梅」
季節外れもいいとこですが、
今回はこの作品。速水御舟の「紅梅・白梅」です。
ぴいんと張りつめた夜の空気、
梅の香りまでも描いたような傑作ですが、
今日は花ではなく、月が主役なのです。
Red and White Plum Blossoms(1929)
Hayami Gyoshu
夕暮れ方に内堀通りを歩いていたんですが
お堀の向こう、皇居の森の樹々のはざまに
細い細いお月様が浮かんでいました。
これから暮色を濃くするであろう薄青の空に、
そこだけ色が乗り切らなかったように
うっすらと白をのぞかせていて。
身震いするほどきれいだったのです。
速水御舟の「紅梅・白梅」のような、
消えてしまいそうに薄い月でした。
昨日は新月、明日は三日月。
じゃあ今日は……?
糸のように細いことから「繊月」という言葉もあるみたいですが、
これは三日月の異称でもあるらしく。
そもそも三日月のことを初月というくらいだから、
2日目の月は基本的に目に見えないものなんですね。
見えるとしても日没後のわずかな時間、まだ明るい空に姿をあらわすくらい。
実際、打ち合わせを終えて30分くらい後に同じところで空を眺めたら、
もうそこには月の姿はありませんでした。
あれは幻だったのかな。
それとも秋の空は澄んでいるから、
普段見えないものを一瞬にせよ見せてくれたのかな。
今日も明日もがんばろう。
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