大岩オスカール「Mr. Night」
ひたひたと夜が忍び寄ってくる。
真っ黒な異様は水底のへどろが化けたものなのか、
ビルの影が一人歩きしたものなのか。
目だけをらんらんと光らせて、
もしかしたらこれは
人間の暗部が形をなしたものなのかもしれないなぁ。
大岩オスカール「Mr. Night」。
渋谷のヒカリエで出会った、
ちょっとだけ怖い、童話のような絵世界です。
Mr.Night
Oiwa Oscar
今のように頻繁に美術館に通うようになったのは4、5年前からなんですが、
ちょうどそのころに友人からチケットをもらって見にいったのが
大岩オスカールという画家の個展でした。
場所は東京都現代美術館。
現代アートなんてよくわからないよ、と思っていたんですが
不思議とこの画家の作品は肌にあったといいますか。
柔らかさのなかに毒があり、
滑稽さのなかに怖さがあり、
童話のような悪夢のような
清濁虚実がまじり合って独自の世界を構築している。
見方によっていろんなものが見えてきて、それが面白かったんですね。
それ以来気になっていた画家なんですが、
今回偶然、個展に巡り会いまして。
ひねくれた愉快な作風は相変わらず健在で
なんだかうれしくなってしまいました。
そういえば彼の作品、基本的に人が見当たらないんですよね。
中心になっているのは、どちらかというと生活空間、建物。
建築学部を卒業しているだけあって、そういう色が濃いのかもしれません。
ちなみに大岩オスカールはブラジル出身なんですが、
一時期北千住に住んでいたことがあるそうで
そんなことからも親近感を抱いていたのです。
今回の展覧会でも、その名もずばり「北千住」という作品があったりで。
飲み屋横町の狭い店内、提灯に「加賀屋」って描いてありますけど
実在するお店ですよね、これ。
気になるなぁ、もう。
渋谷ヒカリエでの展示は今日で終了してしまいましたが、
代官山のアートフロントギャラリーのほうで同時開催してまして
こちらは12月2日までやってます。
点数は少ないけど見応えばっちりですよ♪
今日も明日もがんばろう。
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