船田玉樹「雪」
今秋、練馬区立美術館で好評のうちに幕を閉じた「船田玉樹展」。
来年1月より画家の生まれ故郷・広島へ巡回する予定ですが、
間があくこともあって途中下車ということで
小規模な展覧会が代官山で開かれています。
場所はヒルサイドフォーラム、
企画タイトルは「船田玉樹 創造の森へ」。
多くのアートファンを「あっ!」と驚かせた作品群が、
ここでしか見られない作品とともに展示されていました。
Snow(1981)
Funada Gyokuju
こちらは船田玉樹「雪」。
はげしく降りしきる雪が視界を覆い、
樹林が白に埋め尽くされていきます。
それは白い業火のようでもあり、壮烈でさえある。
先日、三の丸尚蔵館で見た山元春挙「義士隠栖」も
びゅうびゅうと吹雪の音が聞こえてきそうな激しさで描かれていましたが、
玉樹の「雪」は、吹雪のなかに放り込まれたような気持ちにさせられます。
これほど劇的な雪の描写はなかなかお目にかかれないですね。
展示方法もまた素晴らしくて、
広々としたスペースの左手に「雪」の白を、
正面に「花の夕」の紅を、
そして右手に「松」の黒という配置。
鮮烈な紅の両脇をモノクロームで固め、
背後にはカフェスペースということで
時間があればお茶を飲みながら
この豪華な空間に浸っていたかった……。
展覧会ではこのほか、制作風景の再現展示や
おなじみ脱力系の河童作品、
銀地の色紙に雪を描いた小品も複数あって
熾火のような目黒区美の余韻が
ふたたび激しく燃え上がったような気持ちでした。
広島での展覧会は、練馬区美よりも規模が大きいとのこと。
うらやましい限りです。
広島出張とか入らないかな。。
今日も明日もがんばろう。
![]() | 独座の宴―船田玉樹画文集 (2012/07) 船田 玉樹 商品詳細を見る |
- 関連記事
-
- 船田玉樹「雪」
- 船田玉樹「ねむれない夜は」
- 船田玉樹「暁のレモン園」
- 船田玉樹「臥龍梅」
- 船田玉樹「花の夕」