足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

小林清親「浅草蔵前夏夜」(小林清親展より)

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江戸から明治に世がかわると
東京の街路には石油ランプやガス燈が灯され、
モダンな光が人々の生活を変えていきました。
そんな新しい光と影を「光線画」と呼ばれる木版画で表現したのが、
明治時代の浮世絵師・小林清親。
小平市のガスミュージアムで、彼の作品を紹介する
「光の浮世絵師 小林清親展」が開かれています。


小林清親「浅草蔵前夏夜」
 A Summer Evening at Asakusa Kuramae (1881)
 Kobayashi Kiyochika




こちらは小林清親「浅草蔵前夏夜」。
夏の夜、浅草の通りをガス燈が照らし出しています。
通りの向こうに見える黄色い星形も、ガス燈の光なのでしょう。
人物や建物は暗色のシルエットで表現され
輪郭線を用いず色彩と陰影の微妙なバランスで成り立っています。
どこか影絵のような、ノスタルジックな安らぎを感じますね。


幕臣の家に生まれた清親は15歳で家督を継ぐものの、
維新後は絵を本業とするようになり、
チャールズ・ワーグマンや河鍋暁斎、柴田是真などに学びます。
西洋画、日本画、さらには写真の技術までを吸収し、
どの浮世絵流派にも属さぬ独自の画風を切り開いていきます。
やがて1876年、5点の東京風景を描いた作品が好評を博し、
以後「光線画」と称する新たな浮世絵版画で一世を風靡。
一番弟子には井上安治がおり、
ちょうど今日のEテレでドキュメンタリーが放送されていました。


ガスミュージアムの「小林清親展」では
39点の清親作品が展示されており、
「浅草蔵前夏夜」のような郷愁と詩情に満ちた作品を通して
当時の東京風景に浸ることができます。
また、油絵に対抗して制作したという超細密版画も見どころ。
ぼくが行ったときはちょうどガス燈に火をつけながらの説明もあって、
揺らめく光と影を堪能させていただきました。
「明治十年勧業博覧会瓦斯館之図」という作品の中央に描かれた
「花ガス」というガス燈への点火も。青い炎の芸術品。

小林清親「明治十年勧業博覧会瓦斯館之図」
 「明治十年勧業博覧会瓦斯館之図」。真ん中に立っているのが「花ガス」。



蛍光灯にはない独特のゆらぎは琴線に触れるものがあって、
当時の人々も静かな高揚感でもって
こうした光を受止めていたんだなぁと感慨深いものがありました。
会期は12月24日まで、無料で観覧できますので、
少し駅から離れてますが興味のある方は是非。




今日も明日もがんばろう。
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