足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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須田悦弘「芙蓉」(須田悦弘展より)

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それは
自然物のイミテーションではあるのだけど
木彫りゆえの儚さと
空間を統べる力強さが同居していて……
本物と見まごうばかりのリアリティで
佇むように咲いているのでした。
須田悦弘「芙蓉」。
千葉市美術館の「須田悦弘展」より。


須田悦弘「芙蓉」
 Fuyoh(2012)
 Suda Yoshihiro




ということで、須田悦弘展に行ってまいりました。
須田さんは草花のリアルな木彫りで知られる作家で、
花びらや葉の一枚一枚まで精緻を極めた、丁寧な造型に驚かされます。
展示方法も変わっていて
「芙蓉」では専用の黒漆の空間の先に一輪の花が飾られていますし、
そうかと思えば展示スペースの片隅や椅子の下など、
注意深く観察していないと見落としそうな場所に
作品をひっそりと忍ばせていたり。
空間そのものをアートととらえるインスタレーションなわけですが、
こんなふうに宝探しみたいな気持ちで鑑賞するのは初めてでした。
神出鬼没というかなんというか、
「え、こんなところに!?」というところに隠れているので……。
館内は一部の作品をのぞいて撮影可でして、
童心にかえって夢中で楽しんでまいりました。


以下、まずは専用の空間とともに展示されていた作品。
「睡蓮」以外は1人ずつしかなかに入れないので、
平日や土曜の夕方以降など人が少ないときに行くのがおすすめ。

須田悦弘「泰山木」
 「泰山木」。真っ白な空間に咲く、一輪の花。


須田悦弘「睡蓮」
 「睡蓮」。大好きな大山崎山荘美術館の所蔵。





続いて、美術館のそこかしこに潜んでいた作品。
ネタバレなので、これから行く方は見ないほうがいいかもです。


須田悦弘「バラ」
 「バラ」。壁の上方にさりげなく。


須田悦弘「朝顔」
 「朝顔」。壁の隙間に咲いていた。


須田悦弘「スミレ」
 「スミレ」。探すのに一番苦労した作品。


須田悦弘「雑草」
 「雑草」。よその展覧会では、間違えて清掃員が処分してしまったこともあるとか(笑)





さらにこの展覧会、「須田悦弘による江戸の美」という特別企画も。
作家本人がセレクトした江戸絵画・版画の名品が並んでいて、
たとえば浮世絵は真っ暗な室内で1点ずつライトボックスに配置され、
上から覗き込むつくりになっています。
鈴木春信の美人画なら柔らかい色合いの妙を間近で堪能できますし、
写楽の大首絵なら雲母刷りの輝きをいろんな角度から見ることができます。
そして……ここでも須田さんの遊び心が巧妙に仕込まれていて、
たとえば「椿図屏風」という屏風では、
画中の椿がそのまま落ちたかのように、
木彫りの作品が下に転がっていたり。
長澤蘆雪の「花鳥蟲獣図巻」では
雀たちの下に米粒が置かれていたり。
古美術と現代美術をさりげなく取り合わせる、
その企みにうならされるばかりでした。

千葉市美術館の浮世絵展示室
 こんな感じで、浮世絵1枚ごとに専用のボックスが用意されている。


須田悦弘「米」
 まさかの「米」。蘆雪の作品に不思議と合う。


千葉市美術館の「須田悦弘展」は12月16日まで。
繊細で控えめな美しさを散りばめた、過去最大規模の個展です。
美術鑑賞というよりほんとに草花を観察しているような気分になるので、
お行儀が悪いけど気がついたら床に直接座り込んでいたり、
たまたま近くにいた人と会話が生まれたり。
これまでいろんな展覧会に足を運んで来たけど、
ここまで独創的なのははじめてでした。



ところで、過去に須田作品とは知らずに木彫りの花を目にしたことがありました。
場所は赤坂のサントリーホール。
サントリーがバイオ技術で開発した青いバラにちなんで
ホール入り口の壁に木彫りの青いバラが飾られているんですが、
これも須田さんの手によるものだったのですね。
あまりにもひっそりと佇んでいるため、その存在自体気付く人が少ないみたい。
控えめだけど、一度見たら忘れられない。そんな作品です。
コンサートを聴きにいく機会があったら、ぜひ探してみてください。





今日も明日もがんばろう。
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