足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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川瀬巴水「平泉金色堂」(夕暮れ巴水より)

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ふみしめてあるけば
あなうらがつめたい
でも、じっとしたをみて
きしきし
ゆきふみしめてあるく

かぎりのあるみちは
いつかきっとおわる
そう、こころにねんじて
きしきし
ゆきふみしめてあるく

(画 川瀬巴水、詩・文 林望「夕暮れ巴水」より)


川瀬巴水「平泉金色堂」
 Hall of the Golden Hue, Hiraizumi(1957)
 Kawase Hasui




こちらは川瀬巴水「平泉金色堂」。
抒情漂う新版画で一世を風靡した大正・昭和の浮世絵師、
川瀬巴水の絶筆となる作品です。
降り積もる雪、静まり返る石段を進むひとりの男。
この後ろ姿を画家自身と重ね合わせると、
生活苦に喘ぎながらつねに新たな作風を求めた道行きと
旅の終わりの静謐な境地を思い、なんだか感慨深いものがあります。


石段の先には金色堂新覆堂があり、
このなかに1辺5.5mの金色堂がおさめられています。
巴水が描いたこの風景は今もそのまま残されているようで、
こちらのサイトなどを見るとまったく同じ構図の写真があったりします。
残すべき風景、残るであろう風景を
直感的に巴水が選んで作品にしていたものか、
以前も書きましたが巴水の作品世界は現代とシンクロするものが多く
そのせいか、彼の画集など見ていると旅に出たくなるんですよねぇ。



ちょっと横道にそれますが、
昨日は会社の忘年会で深酒してしまい、
目が覚めたら会社で一人で寝てました。。
他の人たちは始発で帰ったらしく。
で、まっすぐ帰るのもあれなので
東京国立美術館の「美術にぶるっ」を見て、
そのあと大田区立郷土博物館の「馬込時代の川瀬巴水」を見てきた次第です。
どちらも観覧は2回目なのですが、何回見ても新たな発見があって
やっぱり絵画っていいなぁ、と年の瀬に実感したのでありました。


で、家に帰ったらネットで注文していた本が届いておりまして。
巴水の版画に日本文学者の林望が詩文を寄せた「夕暮れ巴水」というもの。
1998年の発行ですでに絶版になっており、
定価よりもだいぶ高くなっていたのですが
巴水の人気はこれからもっと高まるであろうから、
早めに買っておこうと思いまして。
冒頭で紹介した詩はこの本におさめられていたもので、
「平泉金色堂」に対して書かれたものでした。
正直なことを申し上げるなら
巴水の作品世界に対して本書の詩は少し物足りなく、
そもそももの言わずとも伝わってくる抒情性に満ちているからこそ
巴水の版画は広く受け入れられるのだと思うのです。
ただ、冒頭の詩「ゆきみち」や他の数篇については
不思議と琴線に触れるものがあり、
それはきっと同好の士に対するシンパシーめいたものなのでしょうね。

夕暮れ巴水



本書の後書きには、こんなことも書かれていました。


川瀬氏の版画は、
その技法こそ旧来の浮世絵職人に依拠するところ多かりしかど、
その画に横溢するノスタルジアは余人のよく追随するところにあらず。
取り分け、暮色に包まれたる閑寂の風景を描かせては
古今独歩東西独往、故に吾人私(ひそか)に川瀬氏を呼んで曰く「夕暮れ巴水」と。




まったく筆者のいうとおりで、
巴水の魅力は暮れ方や月夜、降雨風雪の情景にこそあると思うのです。
旅路や生活のなかにあってふと物思いにふけりたくなる瞬間、その場所を
美しく描き出しているような気がして、
それもまた共感を誘うファクターなのだと思います。


大田区立郷土博物館の「馬込時代の川瀬巴水」は12月24日(月)まで。
「平泉金色堂」は出品されていませんが、
「暮色に包まれたる閑寂の風景」が並ぶ、すばらしい展覧会です。
そして来年、2013年は川瀬巴水の生誕130年。
これを記念して、千葉市美術館にて11月26日から
「川瀬巴水展」が予定されています。
どんなふうに彼の版画を魅せてくれるのか、楽しみですね♪





今日も明日もがんばろう。
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夕暮れ巴水―林望の日本美憧憬夕暮れ巴水―林望の日本美憧憬
(1998/10)
川瀬 巴水、林 望 他

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