足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

山下清「ロンドンのタワーブリッジ」(山下清展より)

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2012年の展覧会納めは、日本橋三越の「山下清展」にしました。
生誕90周年を記念したもので、
放浪の天才画家による約180点の作品が一堂に会する回顧展。
代表作「長岡の花火」のような貼絵をはじめ
鉛筆画、ペン画、水彩、油彩、陶磁器の絵付けなど
少年時から晩年までの幅広い作品を俯瞰することができます。


山下清「ロンドンのタワーブリッジ」
 Tower Bridge, London(1965)
 Yamashita Kiyoshi




こちらは「ロンドンのタワーブリッジ」。
1961年のヨーロッパ訪問の思い出を作品化したもので
これが貼絵なのかと、その細かさに圧倒されるばかりでした。
この一つ前のコーナーが清の油彩画だったので、
この作品もてっきり油彩だと思ってしまったくらいで。
色紙を手でちぎりミリ単位の紙片を糊で重ねていく、想像を絶する制作工程。
色彩といい構図といい、まさに円熟期の傑作だと思います。
素朴さや幼さといった先入観が、みごとに吹き飛んでいきました。


日本各地を放浪した山下清でしたが、
「ぼくは日本中ほとんど歩いてしまったのでどうしても外国が見学したい」と
海外旅行を強く望んでいたそうです。
そして海外旅行の自由化よりも3年早く、夢を実現させるわけですね。
ドイツ・ハンブルクから始まったヨーロッパ訪問は
40日間で9カ国をまわるというもので、
その間、清はめずらしくスケッチブックを持参していたそうです。
基本的に彼の放浪は絵を描くためではなく
ぼんやりと風景を見るのが目的であり、
持ち帰った記憶をもとに貼絵を制作するというスタイル。
ですからわざわざスケッチブックを持って行ったというのは
海外旅行に何か期するものがあったのでしょうね。
既に時代の寵児であったから、“持たされた”のかもしれませんが。。

山下清「パリのエッフェル塔」
 「パリのエッフェル塔」(水彩)。なんとなくアンリ・ルソーを連想しました。



さて、山下清といえば「日本のゴッホ」なんて呼ばれることもあって
確かに「ロンドンのタワーブリッジ」などを見ても
非常にゴッホ的な色彩を思わせます。
静物画(貼絵)のコーナーでは「菊」という作品が
「ひまわり」のようなたたずまいで、
背景の青のマチエールはゴッホよりも立体的に感じました。
筆じゃなくてチューブから、
直接絵の具をカンバスに載せたんじゃないかってくらい。
また、油彩の「ぼけ」は「花咲くアーモンドの枝」を彷彿とさせますし
「ラ・ムスメ」の模写なんかも展示されていました。
本人はなぜ「日本のゴッホ」と呼ばれるのかピンとこなかったそうですが、
こうして彼の作品を見て行くと
「ああ、なるほど」と思わずにはいられないのです。

山下清「菊」
 「菊」。背景の隆起がすさまじい。



日本橋三越の「生誕90周年記念 山下清展」は1月14日まで。
年末の百貨店ということもあって意外に混雑していますが、
大晦日でも開催している数少ない展覧会です。
日本橋界隈にお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。




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2 Comments

まろ says..."感謝です!"
「菊」はまさしくゴッホですね。
山下清はまとめて観たことがないので、正月休みを利用してぜひ行ってみます。
今年一年、本当にいろいろな絵を紹介くださって、勉強にもなり刺激にもなりました。
本当にありがとうございました。
よいお年を!
2012.12.30 17:26 | URL | #Koy3t6Qg [edit]
スエスエ201 says..."Re: 感謝です!"
> まろさん

こんばんわ。いよいよ今年も残すところあと1日ですね。
山下清展、年末年始に見るにふさわしい、すばらしい展覧会でした。
作品展数にも圧倒されると思いますよ。

こちらこそ、今年一年ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
2012.12.31 00:51 | URL | #- [edit]

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