伊東深水「対鏡」
豊かな黒髪、白き柔肌。
赤い着物の襟を抜き、覗いたうなじが艶かしい。
嗚呼うつくしき大正ロマン!
美人画の名手・伊東深水がこの「対鏡」という作品を手がけたのは
18歳のときだというから驚きです。
Looking in the Glass(1916)
Ito Shinsui
黒、白、赤の色彩が響き合い、
そこに淡い唇やかんざしの黄が花を添えています。
背景にはバレンの刷り跡を残し、
物憂い表情と呼応するかのよう。
どこか崩れた女性の姿態を通して、
それを見つめる青年の危うい心情が見えてきます。
伊東深水はこの「対鏡」を皮切りに
渡辺版画店から新版画を発表するようになります。
同じく18歳のときの「遊女」という作品では、
どこか投げやりな表情が印象的。
彼女たちは深水とどのように関わっていたのか……
そんなことを考えるのは野暮というものでしょうかね。
「遊女」。どこか険のある表情。
伊東深水は鏑木清方の弟子であり、
歌川国芳の流れをくむ大正・昭和期の浮世絵師。
横浜美術館で開催中の「はじまりは国芳」では
深水の美人画も多数展示されていました。
会期は14日まで。3連休でもう一回行ってこようかと思います。
今日も明日もがんばろう。
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