足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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円空「両面宿儺坐像」(円空展より)

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1月12日から上野の東京国立博物館ではじまった
「飛騨の円空 ——千光寺とその周辺の足跡」。
さっそく日曜に見てまいりました。
何かご加護がありますように……と下心を抱きながら(笑)


円空「両面宿儺坐像」
 Seated Ryomen Sukuna(17th century)
 Enku




こちらは円空「両面宿儺坐像(りょうめんすくなざぞう)」。
円空仏にしては珍しく光背が彫られていますが、
仏様ではなく、日本書紀に登場する飛騨の怪物なんだそうです。
伝えられる姿は一つの胴体に対し二つの顔。
互いに背を向けて頭頂を共有しているためうなじがなく、
顔一つにつきそれぞれ手足を持っているのだとか。
また、膝はあるけど裏側のくぼみとかかとがない、
つまり脚の背面もくっついているということですね。
天皇の命令に従わず人々を苦しめたこの怪物は、
武振熊という人物によって征伐されてしまったそうです。


円空仏を見ると、伝説と大きく異なることが分かります。
顔が横に並んでおり、手足の表現や持ち物も異なるようです。
人々の誤った言い伝えをもとに作ったのか、
それとも円空独自の解釈を加えたのか。
このへんの難しい解釈は専門家にお任せするとして……
個人的な感想は、異形の怪物のはずなのに優しい顔をしているなぁと。
目はつり上がっているけど、何だか愛嬌がある。
円空の慈心がそのまま出て来てしまったようで
あぁ、きっと優しい人だったんだろうなあって思いました。
展覧会場に並んだほかの仏像を見ても、みんな柔らかい顔立ちなんですもん。
彫りはごつごつと荒々しいのに、なんだか不思議。
彫りの力強さと円空の仏心、そして木のぬくもりが生んだ
小さな奇跡の集まりなんでしょうね。

円空「三十三観音立像」
 「三十三観音立像」。ずらっと壮観。



円空は江戸時代前期の行脚僧。
全国を巡って修行を続け、各地に木彫りの仏像を残しました。
近畿から北海道まで足跡はおよび、
なかでも愛知・岐阜に木彫りの仏像が多く残っているそうです。
東京国立博物館の「飛騨の円空」では
岐阜県高山市・千光寺所蔵の61体と同市所在の円空仏をあわせ、
計100体が展示されています。
会場が狭いこともあって開催2日目にもかかわらずものすごい混雑でしたが、
見渡せばあちこちに木目や節がそのまま残る木彫りの仏様が立ち並び
展示台も木の根元を模したようなつくりになっていて
飛騨の山奥に迷い込んだような、そんな気持ちになりました。

円空「金剛力士(仁王)立像」
 「金剛力士(仁王)立像」。地面にはえたまま彫刻したという。木がみずから形を成したみたいだった。



現在発見されている円空の仏像は5000体程度だそうですが、
なんと円空さん、生涯に12万体もの仏像を彫ろうとしていたのだそうです。
白隠の書画1万点もすごいけど、もうケタが違います。
会場には記念すべき1万体目の仏像も展示されていましたが
これさえも円空にとっては通過点だったわけですね。。
どんな思いで円空はのみを振るっていたのかな。
彫った仏像を村人にあたえ、それが救いになると信じればこそ……でしょうか。



最後に、今日覚えた俳句を。
長崎の平和祈念像をつくった彫刻家・北村西望が詠んだものです。


たゆまざる 歩みおそろし かたつむり


亀より遅いかたつむりの歩みでも、
年月かけて積み重ねればかならず大きな力になる。
少しずつでも前へ進むことが大事なんですね。
生涯をかけて仏像を彫り続けた円空のように、
というのは難しいけれど……
あきらめず黙々と進んでいきましょう。
そしたらきっと、いいことがあるから。




今日も明日もがんばろう。
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