モーリス・ドニ「純潔の春」
暦のうえではもう春ですね。
数日前からぽかぽか暖かくなってきて、
梅の花もほころびはじめました。
春風は氷を解かし、
山ではうぐいすが鳴き、
冬ごもりの虫たちが目覚め、
氷の割れ目から魚が顔をのぞかせます。
そうして寒くなったり暖かくなったりを繰り返しながら、
桜の季節がやってくるんですね。
Virginal Spring(1899)
Maurice Denis
モーリス・ドニ「純潔の春」。
春というと、ドニの作品を連想します。
薄日に照らし出されたような柔らかな色彩。
シロツメクサの花輪を編む女性や、
澄んだ小川で水浴びをする女性。
誰もが幸福そうな表情で、春の訪れを心からよろこんでいるようです。
「Virginal Spring」という原題や
白い鳩が描かれているところを見ると、
やっぱり宗教的な意味合いがこめられているのでしょうか。
ドニはナビ派一の理論家にして、敬虔なクリスチャン。
そして何より、家族を愛した画家です。
一昨年のモーリス・ドニ展はほんとに素敵でした。
同じ展覧会に3回も通ったのは後にも先にもこのときだけ。
大きめの複製画を買ったのもこのときが初めてだったな。
絵を見て泣きそうになったのも……。
あれからずいぶんたったけど、当時のことを今も愛おしく思います。
またいつか、どこかでドニ展をやってくれたらうれしいな。
今日も明日もがんばろう。
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