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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

俵屋宗達「蔦の細道図屏風」

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琳派は粋で、かっこいい。
俵屋宗達の「蔦の細道図屏風」を見て、
つくづくそう思いました。
現代の作品と言われても納得してしまいそうなデザイン性は
これはもう奇跡的としか言いようがありません。


   俵屋宗達「蔦の細道図屏風」右隻

俵屋宗達「蔦の細道図屏風」左隻
Ivy-Bound Lane(17 Century)
Tawaraya Sotatsu




金箔の背景と、緑一色の野原。
その境にはこれも緑の蔦の葉が散らされ、金地に溶けていきます。
伊勢物語の「東下り」で主人公の一行が
駿河国の宇津山を越える場面を描いたものですが、
ここには人物は描かれず一切の無駄を排した世界が広がるのみ。
さすがは琳派芸術の祖、
光琳の「燕子花図屏風」よりも前にこんな世界を表現していたとは。


さらにこの作品には、宗達の遊び心が秘められています。
右隻と左隻がつながって一つの世界を成しているわけですが、
左右を入れ替えてみると……あら不思議、やっぱりつながっているのです。
つまりこの「蔦の細道図屏風」、
屏風でありながら円形に囲める仕掛けが施されているんですね。
360度をこんな作品にぐるりと囲まれたら、さぞかし幸せだろうなぁ。

俵屋宗達「蔦の細道図屏風」左隻 俵屋宗達「蔦の細道図屏風」右隻

俵屋宗達「蔦の細道図屏風」右隻 俵屋宗達「蔦の細道図屏風」左隻
左右を入れ替えても、つながる不思議。



書にも注目してみましょう。
伊勢物語にちなんだ7つの和歌は
烏丸光広という公卿の筆によるもの。
踊るような蔦の葉に呼応して
文字の大小を絶妙にコントロールしながら
リズミカルに配置されています。
書と画が高次元で結びついた傑作……なんて難しく言うのはやめて、
やっぱりかっこいいんですよね、これが。


相国寺蔵、重要文化財のこの作品をはじめて見たのは
東京国立博物館の「対決展」でした。
あれから5年を経て、先日行った福岡・石橋美術館の
「金閣・銀閣の寺宝展」で偶然の再会を果たしたんです。
対決展のときよりも鮮烈で、ひしひしと感じ入るものがありました。
旅先での邂逅だったから、なおさら心に響いてしまったのかな。


「金閣・銀閣の寺宝展」は石橋美術館と有馬記念館の2館にまたがる企画。
サブタイトルは「雪舟、等伯、宗達、そして若冲」ということで
日本画ファン垂涎の展覧会でした。
前期は若冲の作品のみで構成されていたそうで、
ぼくが見に行った後期展示では
長谷川等伯の「竹林猿猴図屏風」に始まり、
円山応挙や長澤蘆雪、雪舟、牧谿、狩野派などそうそうたる顔ぶれ。
点数は少ないながらも「寺宝」の名に恥じぬ作品ばかりでした。
会期は3月10日まで、九州在住の方は行かなきゃ損ですよ♪




今日も明日もがんばろう。
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