ルーベンス「聖母子と聖エリサベツ、幼い巡礼者ヨハネ」(ルーベンス展より)
双子をあやすお母さんとおばあさん……ではなくて、
これは宗教的主題にのっとった聖母子像。
女性が身にまとった赤と青の衣装がその証です。
ルーベンス(工房)による傑作
「聖母子と聖エリサベツ、幼い巡礼者ヨハネ」。
Bunkamura ザ・ミュージアムの「ルーベンス展」より。
The Virgin and the Child with St. Elizabeth and the Infant St. John the Baptist(c.1615-18)
Workshop of Peter Paul Rubens
マリアに抱かれてあどけなく笑うのは幼児キリスト。
羊にまたがってキリストに身を寄せるのは洗礼者ヨハネ、
そしてヨハネの背に手を置くのは
マリアの従姉妹であり、ヨハネの母である聖エリサベツです。
キリストとヨハネ、運命的な出会いの場面ですね。
……でも出会ったのはイエスが青年になってから、
場所はヨルダン川じゃなかったっけ??
まぁ、ダ・ヴィンチも「岩窟の聖母」で幼い2人を描いてますしね。
13世紀後半の「キリストの生涯についての瞑想」という本でも
この場面が描かれているそうです。
この作品、一見ほのぼのとした親密な雰囲気ですが
生贄として捧げられる羊はその後のイエスを暗示しています。
羊とイエスをセットで描いたのはダ・ヴィンチが先駆であり、
ラファエロがその構図を自作に取り込み、
そのラファエロ作品をルーベンスが参考にしたんだとか。
羊のおしりには十字架らしきものが見えますが、
これはイエスの磔刑を暗示するのか、
それともヨハネの持ち物(十字の杖)でしょうか。
さらにこの作品には、ぼくたち東京都民にはうれしい仕掛けが。
キリストのお顔は、国立西洋美術館所蔵の
「眠る二人の子供」の寝顔を反転させて、眼を開いたものなんですって。
ちなみにこちらも「ルーベンス展」に出品されており、うれしい再会でした。
「眠る二人の子供」。モデルは兄フィリップの遺児。
さて、この「ルーベンス展」は
「日本におけるイタリア2013」にともなう文化イベントで
「ラファエロ展」「レオナルド展」「ミケランジェロ展」もこの一環。
本日ラファエロも見てきて、
ついでにレオナルド、ミケランジェロのチラシも入手しました。
ぜいたくすぎて鼻血が出そう(笑)
今日も明日もがんばろう。
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