ミュシャ「百合の聖母」(ミュシャ展より)
元々はエルサレムの教会壁画として構想された作品。
そのため247×182cmの大作であり、
「スラヴ叙事詩」を構想していた時期だけに
宗教と民族的な要素が色濃くあらわれています。
アルフォンス・ミュシャ「百合の聖母」。
森アーツセンターギャラリーの「ミュシャ展」より。
Madonna of the Lilies(1905)
Alphonse Mucha
画面の上半分を覆いつくす白百合と、
その芳香のなかで静かに佇む聖母。
白百合は聖母の純潔をあらわすアイテムであり
彼女の衣装もまた、白で統一されています。
一方、画面左下の赤毛の少女はチェコの民族衣装に身をつつみ
こちらに視線を投げかけています。
目を閉じた聖母と、目を開いた少女。
聖母は背後の花々に溶け込みそうなほど淡く幻想的なのに対し
少女は色彩も輪郭もくっきりと、命ある存在として描かれています。
大地にしっかりと腰をおろした少女と
浮遊するような聖母の対比も見事ですね。
本作は「女性」と「花」というミュシャお得意の組み合わせですが、
前回の「四芸術」と比べても雰囲気は大きく異なり
ミュシャ作品のもうひとつの側面をうかがい知ることができます。
展覧会では、ここから畢生の大作「スラヴ叙事詩」関連の作品へ。
ただ美しいだけではない、ミュシャの真髄に触れられる点で
今回の「ミュシャ展」は非常に意義深いと思っています。
象徴主義なんかも好きな自分としては、この手の作品に惹かれてしまうので。。
おまけ。スラヴで聖母といったらこの曲を連想しちゃいました。
今日も明日もがんばろう。
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