伝・藤原公任「石山切(伊勢集)」(琳派から日本画へ より)
平安時代の料紙装飾の名品「石山切」。
1112年に行われた白河法皇の六十賀に際して製作されたものの一部だそうで、
20名の能書家によって36人分の歌集が書写されており、
書の優美さに加えて当時の最高峰の装飾技法でつくられたのだとか。
自分は書にかんしてはど素人なんで難しいことは分かりませんが、
これはもう一目で釘付けになってしまいました。
これぞ日本古来の美意識だなぁと。
“Ishiyama-gire” Fragment of the Iseshu Poetry Anthology(12th century)
Attributed Fujiwara no Kinto
筆者は藤原公任とされており、
伊勢集の一部が書写されています。
左端の2行に書かれた和歌は以下のとおり。
いかにせん いひはなたれず うきものは
みをこころとも せぬよなりけり
何とお答えすればよいのでしょうか。
言葉でそれと言い表すことはできません。
恋は憂きもの、我が身ひとつも思いのままにはならないのです。
といった意味の、求愛に対するつれない返事のようです。
この「石山切」、一般公開は実に15年ぶりとのこと。
今回紹介した作品以外にも、山種秘蔵の
古筆コレクションがまとめて展示されています。
書と装飾の美しい響きは時代をこえて、
本阿弥光悦と俵屋宗達という奇跡のコンビによって受け継がれるわけですね。
こちらは藤原定信による「石山切(貫之集下)」。前期のみ展示です。
それにしても……こういうのを見てしまうと、
自分の字の汚さを恥じ入るばかりで。
習字、ちゃんと習っておけばよかった。
今からでも取り戻せるかな?
今日も明日もがんばろう。
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