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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

クラムスコイ「忘れえぬ女」

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映画「ソルト」を見てきました。
いやー予想以上に面白かった!
ロシアのスパイ容疑をかけられたCIAエージェントの物語なんですが、
主演のアンジェリーナ・ジョリーがかっこいいんですわ。
イカレセレブだと思ってたけど印象がだいぶ変わりました。
ということで、今回は「ソルト」にちなんでロシア美人の肖像画を紹介します。


忘れえぬ女
Portrait of an Unknown Woman(1883)
Ivan Nikolaevich Kramskoj




ロシアの画家、イワン・クラムスコイの「忘れえぬ女」。
「北方のモナリザ」とも呼ばれる、1883年発表の名作です。
馬車の上から周囲の男たちを睥睨するような、力強い視線。
羽飾りのついた帽子と黒い毛皮のドレス、
そして背後で霧に霞むサンプトペテルブルクの街並が
彼女の存在感を際立たせています。
肌を刺すようなロシアの外気にさらされながら、
誇り高く背筋を伸ばし、気品を失わない姿は
帝政ロシアの徒花のようでもあり、どこか影のある表情に惹かれます。


ちなみに、この女性は高級娼婦だと言われています。
帝政ロシアの民主化を望み、
みずからの理想を画業を通して
積極的に打ち出していったクラムスコイは、
どんな思いでこの絵を描いたのでしょうか。
自分の身体を売るしかない哀れな女性なのか、
それともその美貌でもって富を得るしたたかな女性なのか。
一人の女性のなかに両者が共存したのが、
当時の揺れ動くロシアだったのかもしれません。



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