モーリス・ドニ「聖母月」
ナビ派を代表する理論家であり、
聖書の画家ともいわれるモーリス・ドニ。
名古屋のヤマザキマザック美術館に、
彼の絵が2点展示されていました。
どちらもあまりに素晴らしくて
絵の前のソファに腰かけてしばし時間を忘れて……。
今回はそのうちの1点、「聖母月」を。
Month of Mary(1907)
Maurice Denis
モーリス・ドニ「聖母月 -あるいは春の風景の中の聖母」。
白、薄紫、浅黄、桜、薄青など
やわらかな色彩と光が画面に満ち満ちています。
幼子を抱く聖母と、彼女たちを囲む修道女、そして子どもたち。
ドニの絵筆にかかれば影さえも明るく美しく、
春の調べが聞こえてきそうです。
タイトルの「聖母月」とは、キリスト教における5月のこと。
5月31日が聖母マリアの祝日となっており、
北ヨーロッパにようやくやって来た春の息吹によって
草木が芽吹き、花々が咲き誇る、もっとも悦ばしい季節なのだそうです。
イエスは裸でちょっとむずかっているようにも見えるけど、
春の日差しに包まれて思わず体を動かしたくなっちゃったんでしょうか。
朝まで語り明かしたあのころ、
何度か話題にあがったのがモーリス・ドニでした。
彼の絵は前から好きだったけど、もっともっと好きになりました。
それぞれ仕事で徹夜明けだったあの日の朝、
見上げた朝焼けがドニみたいな色彩でした。
結局それが最後の朝になってしまいました。
ドニの作品を見るとあなたを思い出して
ちょっとだけ苦しく、でもたくさん幸せな気持ちになります。
そうそう、ちょっと前に教会にいってきました。
仕事でたまたま近くに寄る機会があったので中をのぞいてみたんです。
真っ白な大輪の花のような天井のガラスから
春の光がさんさんと降り注いでいて
ただただ感謝の気持ちでいっぱいでした。
今でも思い出をたぐり寄せては
教えてもらったきれいなものに浸っています。
今日も明日もがんばろう。
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