ルドン「ロンスヴォーのローラン」(ルドン展より)
フランス最古の叙事詩「ローランの歌」。
これを題材にオディロン・ルドンが描いたのが
「ロンスヴォーのローラン」という作品です。
Roland at Roncevaux(1862)
Odilon Redon
馬上で背後を振り返る騎士ローラン。
手綱をひいたものの立ち止まることを拒んだのか、
馬は後脚で立ち上がり、ローランの赤いマントがひるがえります。
初期の“黒”とも後期の“色彩”とも異なる、
ロマン主義風の荒々しく躍動的な描写。
制作年は1862年、このときルドンは22歳。
当時歴史画家を目指していたルドンは
この作品で後にサロン初入選を果たしています。
損保ジャパン東郷青児美術館で
今日から始まった「オディロン・ルドン —夢の起源」で、
この作品が展示されていました。
日本におけるルドン展というと
たいてい岐阜県美術館の作品が中心になるのですが、
今回はこれに加えてルドンの出身地にある
ボルドー美術館の作品が多数出品されています。
「ロンスヴォーのローラン」もボルドー美術館の所蔵で、
このほかドラクロワの模写など
ルドン初期の貴重な作品を見ることができました。
本作を描いた翌年、1863年にルドンは版画家ブレスダンと出会います。
ロマン主義の申し子であり、版画という“黒”の世界で
幻想を繰り広げたブレスダンとの交流が、
ルドンにどんな変化をもたらしたか。
ということで次回、ルドンのあの有名な作品をご紹介したいと思います。
ちなみに今回のルドン展、
版画関連は昨年の三菱一号館美術館の展示と大きくかぶっていたものの
ボルドー美術館からの作品が非常に粒ぞろいでして、
岐阜県美術館の作品群とのバランスもばっちりでした。
会期は6月23日まで、その後静岡、岐阜、新潟を巡回します。
これは紹介しなきゃ! っていう作品がたくさんあったので、
しばらくルドン特集ということで。お楽しみに〜
今日も明日もがんばろう。
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