足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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ルドン「蜘蛛」(ルドン展より)

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まっくろくろすけ出ておいでー
出ないと目玉をつっつくぞー



ルドン「蜘蛛」
 Spider(1887)
 Odilon Redon




……?

まっくろくろすけと蟹を合体させたような
10本足の奇妙な生物です。
これはオディロン・ルドンの「蜘蛛」という作品。
幻想世界の異形の蟲は
現実に足をひっかけて笑みを浮かべています。


ルドンの画業前半は、こうした奇怪な黒に覆われていました。
版画家ブレスダンとの出会いによって開眼したのでしょう、
眼球、生首、翼、胞子といった形態にくわえて
「蜘蛛」のような、この世にあらざる怪物が顔をのぞかせます。
怪物といえばボッスやブリューゲルが思い浮かびますが、
ルドンが先達と大きく異なるのは
彼の描いた怪物がいかにも闇のなかで蠢いていそうな……
空想の産物であるにもかかわらず、
妙なリアリティを持っている点にあります。
目を閉じて、耳をふさいで、無音の闇に身を置いたら
どこからかひたひたとすり寄ってきそうな。
夢と現実のはざまで、ルドンは実際に怪物を見ていたのではないかと
そんな気さえしてきます。
後に彼が天上の色彩を手にすることを考えると、なおさら。



ちなみにルドンは植物学や進化論にも関心をもっており、
科学の目で精神世界を描いた稀有な画家だったのでしょう。
ルドンに植物学の手ほどきをしたのはアルマン・クラヴォーという人物ですが
クラヴォーについて、ルドンはこんな言葉を残しています。


うまく言えないが、知覚できる世界の境界線にあって、
動物と植物の中間的な生き物、花というか存在物、
一日のうち数時間、光の影響を受けただけで動物になるような
不思議な生き物の研究をしていた。



これって……
ルドンの作品世界そのものですよねぇ。
彼がその目で何を見ていたのか、大いに気になるところです。



最後に、損保ジャパン東郷青児美術館のルドン展から
ルドンの黒をいくつか。


ルドン「夢のなかで」より「孵化」
 石版画集「夢のなかで」より、第1葉「孵化」。


ルドン「起源」より「不格好なポリープは薄笑いを浮かべた醜い一つ目巨人のように岸辺を漂っていた」
 石版画集「起源」より「不格好なポリープは薄笑いを浮かべた醜い一つ目巨人のように岸辺を漂っていた」。


ルドン「夜」より「堕天使はその時黒い翼を開いた」
 石版画集「夜」より「堕天使はその時黒い翼を開いた」。








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