足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

小茂田青樹「緑雨」

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昨日は雨のなか、上野毛の五島美術館に行ってきました。
館蔵の名品を集めた「近代の日本画展」が始まっており、
これがもう、ラインナップを見ただけで生唾ごっくんもの。
万難を排してでも行かねば! との次第でして。
今回は出品作品のなかから、小茂田青樹の「緑雨」という一枚を。


小茂田青樹「緑雨」
Early Summer Rain(1926)
Omoda Seiju




鮮やかな緑に覆われた世界。
大きな芭蕉の葉っぱの下で、
雨の気配に誘われたものか
一匹の蛙があたりをうかがっています。
よく見ると右上にも蛙の姿。
雨! もうたまらん! とでも言わんばかりに
するすると芭蕉の茎をのぼっていってしまったのでしょう。
石榴の花が画面に色を添えて、
なんとも微笑ましい初夏の風景が描かれています。


王安石の漢詩「石榴詩」に「万緑叢中紅一点」という言葉があり、
万緑の中に一点だけ紅の花があり、ひときわ美しいといった意味だそうです。
たまたま読んでいた季語の本に出てきたんですが、
これって小茂田青樹の「緑雨」にぴったりですね。
万緑を雨が潤し、そこにたたずむ赤い石榴の花。
この絵の主役は、蛙ではなく石榴の花なのかもしれません。
ただ日本人の感覚だと、紅の花が美しいから
まわりの緑もいっそう美しく感じられる、となるのでしょう。
「紫の ひともとゆゑに 武蔵野の 草はみながら あはれとぞ見る」の精神です。
だから蛙も愛おしい、といったところでしょうか。



さて、五島美術館といえば庭園も素晴らしいんですが、
あいにくの雨だし今回はやめようかな……と最初は思っていました。
でも、「緑雨」を見て気が変わりました。
雨の庭園も、風情があっていいじゃないかと。
石畳の階段はところどころ苔に覆われていて、
樹木の香り、土の香りも雨によってひときわ強く立ちのぼり
シャガや黄菖蒲など花々も美しくうれしくなってしまったんですが……
まぁ足もとがすべるすべる(笑)
転んだら泥まみれですから、すり足気味に細心の注意でお庭鑑賞いたしました。

五島美術館の庭園0511



五島美術館の「近代の日本画展」は6月16日まで。
会期が1ヶ月程度と短めなので、興味のある方はお早めに。
ちなみに画家の名前をずらっと挙げると
狩野芳崖、橋本雅邦、川端玉章、竹内栖鳳、小川芋銭、
横山大観、下村観山、川合玉堂、菱田春草、上村松園、
平福百穂、鏑木清方、松岡映丘、小林古径、橋本関雪、
安田靫彦、前田青邨、川端龍子、村上華岳、奥村土牛、
小茂田青樹、堂本印象、金島桂華、山口蓬春、徳岡神泉……
と、ものすごいメンツです。
小川芋銭などはじめて知った画家も3人ほどいましたが、
これもまた素晴らしい作品でして。


また、第二展示室には横山大観の富士が7点、これもまた壮観!
富士山は世界遺産登録がほぼ決まりのようですし、
なんともタイムリーでうれしい展示です。
ああ、もう一回見に行きたいなぁ。
晴れの日だったら、鑑賞のあとに
等々力渓谷でお散歩なんていうのもいいかもしれませんね♪




今日も明日もがんばろう。
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2 Comments

佐倉勇介 says...""
 まえにコメントをさせていただいた者です。綾瀬在住の――覚えていらっしゃいますでしょうか。ときたまに拝見させていただいております。

 緑色のうつくしい色づかいですね。日本人の感性とはなにかとおもえば、まずこのように色彩のうつくしいあざやかな日本画をみるとわかりやすいかも知れませんね。
 この足立区綾瀬美術館はさまざまな絵画をみることができるので、都内でのお気にいりの美術館のひとつです。
2013.05.13 01:38 | URL | #- [edit]
スエスエ201 says..."Re: タイトルなし"
>佐倉勇介さん

こんばんは。
昨年くらいにコメントいただきましたね。
またお越しいただきありがとうございます。

日本人の色彩感覚はやはり西洋とは大きく異なり、
日本画を見たあとで日本庭園や寺社を見てまわると非常にしっくり来るものがあります。
こうした古き時代の感性は、現代人のDNAにもしっかり刻まれているんでしょうね。
2013.05.14 02:10 | URL | #- [edit]

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