足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

川合玉堂「春峡」

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山から切り出した材木を筏に組んで
下流へと運ぶ筏流し。
日本古来の伝統でありながら、
いまではごく一部の地域で見られるばかりです。
そんな古きよき時代の一場面を描いたのが、
川合玉堂の「春峡」。
五島美術館の「近代の日本画」で展示されていました。


川合玉堂「春峡」
Valley of Spring(1956)
Kawai Gyokudo





懸崖に咲き誇る山桜と
急流の青との対比が見事ですね。
静かに舞い散る桜と、それを飲み込む奔流と。
筏のうえでは筏師がただ一本の棒でバランスをとりながら、
華麗に水上をかけていきます。
熟達した職人技のなせる技なのか、
不安定な足場には見えず静けささえ感じます。
左手には滝が淵をつくり、岩肌までもが勢いよく描かれているのに。


「春峡」は1956年、玉堂が亡くなる前年に描かれた作品です。
44年に奥多摩に疎開し、残りの人生をこの地で過ごしたそうなので
この作品もやはり奥多摩が舞台なのでしょうか。
近代山水画を大成した巨匠の作品だけに、
そこには深い詩情が感じられます。
57年の玉堂の死を悼み、日本画家の鏑木清方は
「日本の自然が、日本の山河がなくなってしまったように思う」と語ったとか——。


五島美術館の「近代の日本画」では、
「春峡」を含め、玉堂の作品が4点展示されていました。
そして6月8日からは、山種美術館で「川合玉堂展」が開催となります。
生誕140年を記念し、玉堂の画業全体を振り返る回顧展。
とても楽しみです。



今日も明日もがんばろう。
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画集 川合玉堂の世界画集 川合玉堂の世界
(1998/03)
玉堂美術館

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