足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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アントニオ・ロペス「グラン・ビア」

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想像してみてください。
画家は7年もの長きにわたり、
まだ眠りから覚めやらぬ夏の大通りにイーゼルを立てて
わずか30分あまりの創作の時間を積み重ねていきました。
車や人の影もなく、
遠くの建物はのぼったばかりの太陽に照らされて
ぼうっと白く浮かび上がっています。
じっと見ていると、筆を動かす音と画家の息づかいが聞こえてきそうな——
そんな一枚です。


アントニオ・ロペス「グラン・ビア」
Le Gran Vía(1974-81)
Antonio López




渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで、
先月より「アントニオ・ロペス展」が開かれています。
ロペスは現代スペイン・リアリズムの巨匠。
となると一昨年の磯江毅展を思い出しますが、
同じスペイン・リアリズムでも作品の印象はまったく異なります。
磯江毅の作品は時間や温度や重力を感じさせず
対象物の本質に鋭く迫るような作風でしたが、
ロペスの作品は細部にとらわれることなく
絵の中にゆるやかに時間が流れている、そんな印象を受けました。


ですからこの「グラン・ビア」にしても、
間近で見るとさほど細密には描かれていないことに気付かされます。
距離を置いて見ると、色彩と要素が溶け合って像を結ぶ——
そのからくりは印象派の絵画にも通じるものがあるかもしれませんが、
風景の一瞬の表情を切り取る印象派と
風景に永遠を閉じ込めるロペスの作品は実に対照的です。
そして彼が描いたマドリードの目抜き通りは、
現在もほぼそのままに残っているんですね。
Googleのストリートビューで探してみましたが、
なんだか不思議な気持ちになりました。
現在のグラン・ビアはこちらをご覧ください。



展覧会は「故郷」「家族」「植物」「静物」「室内」「人体」に分けられ、
10代のころの作品から現在に至るまでの絵画、素描、彫刻で構成されます。
「グラン・ビア」に代表される
マドリードの景観を描いた大作も見どころですが、
個人的には9歳の娘を描いた素描「マリアの肖像」や
「アビラのバラ」などの植物を描いた作品に惹かれました。


アントニオ・ロペス「マリアの肖像」 アントニオ・ロペス「マルメロの木」
左:「マリアの肖像」 右:「マルメロの木」



映画「マルメロの陽光」のなかで描かれた「マルメロの木」という作品もあり、
製作に時間をかけるあまり描いているあいだに
果物が腐ってしまった、なんてエピソードも。
また、トイレや冷蔵庫など
まず画題には選ばないようなものをリアルに描いた作品群や、
会場の最後に展示される人体彫刻も圧巻でした。
文字通り息をのみながら、リアルと幻が交差する作品世界に浸るひととき。
「アントニオ・ロペス展」、おすすめの展覧会です。





今日も明日もがんばろう。
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(2013/07/01)
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