鈴木其一「群鶴図屏風」(ファインバーグ・コレクション)
尾形光琳にはじまり、
琳派の画家たちが代々受け継いできた
金地に青い渦巻き水紋、そして群れなす鶴の構図。
酒井抱一の弟子・鈴木其一もこの「群鶴図屏風」を手がけており、
江戸東京博物館の「ファインバーグ・コレクション展」で
作品を見ることができます。
Cranes
Suzuki Kiitsu
端正なたたずまいですがどこか飄々とした群鶴。
流水の表情、いわゆる光琳水の不思議な曲線と金地の輝きを見つめていると
平面なんだか立体なんだか分からなくなってきます。
水は奥へ流れていき、鶴は手前にせり出してきて
さて自分はどこにいるのだろう、と。
金地の屏風を前にするとよく陥る錯覚で
これぞ夢幻の心持ちですね。
それにしても、光琳水を見るとカーボン紙を連想するのはぼくだけでしょうか。
江戸東京博物館の「ファインバーグ・コレクション展」は7月15日まで。
その後、滋賀、鳥取を巡回します。
「江戸絵画の奇跡」というサブタイトルにふさわしく
オールスターともいえる豪華な面々が並んでおり、
会場では宗達をはじめとする「琳派」、
大雅や蕪村などの「文人画」、
応挙から連なる「円山四条派」、
山雪や若冲の「奇想派」、
そして江戸の芸術の粋ともいえる「浮世絵」という
5つのテーマに分けて作品が展示されていました。
後期展示がはじまったら、また行かなくちゃと思っています。
ところで其一の「群鶴図屏風」ですが、
同題の作品が今、東北でも展示されています。
米国カリフォルニアからやってきた、プライスコレクション。
ファインバーグ・コレクションとはひと味違った、
其一の遊び心が光る屏風とのことで……
岩手までいくか、夏の福島巡回を待つか非常に悩ましい。
東北出張があるといいんだけどなぁ。
今日も明日もがんばろう。
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