川合玉堂「二日月」
今日は午前中だけ仕事をして、午後は代休をいただきました。
あいにくの雨模様ですが、そういう天候だからこそ見たくなるものもあります。
たとえば、川合玉堂の絵。
山村や田園の自然風景を描いた日本画家の作品を見に、
山種美術館まで行ってきました。
New Moon(1907)
Kawai Gyokudo
こちらは川合玉堂「二日月」。
聞き慣れない名称ですが、
三日月の前夜にのぼる月のことで
糸のように細いことから「繊月」という呼び名もあります。
しっとりとけぶる夕靄の向こうには
輪郭のない没骨法の木々が描かれ、
その先にうっすらと、けれど確かな存在感で輝く二日月が。
一日の疲れを背負った農夫たちが馬を連れて家路を急ぎ、
彼らと鑑賞者とを蛇行する清流がつなぎます。
しっとりと湿度を感じさせるこの作品において、
月とこの川だけが澄んだ光を放っていて
なんだか不思議な気持ちになるんですよね。
玉堂はターナーやバルビゾン派にも関心があったそうで、
この作品にはそれらの雰囲気も漂っているように感じます。
ところでこの「二日月」という作品、墨一色のようにも見えますが
もともとは夕暮れ時の空を描くにあたって
青と赤の顔料を使用していたんだそうです。
その色合いがことに美しく称賛されたそうですが、
残念なことに退色してしまいその面影はありません。
これはこれで素晴らしい作品ですが、
当時はどんな色合いだったのかと……あれこれ想像してしまいます。
山種美術館の「川合玉堂 −日本のふるさと・日本のこころ−」は8月4日まで。
画家の生誕140年を記念するもので、
同館所蔵の玉堂作品をすべて公開し、
さらに他館所蔵の代表作も集めた気合いの入った展覧会です。
7月9日からは後期展示に切り替わる予定で、
見たい作品があるのでもう1回行かなくては…と思っております。
ちなみに、山種美術館から恵比寿駅に向かう途中のギャラリー(?)でも
川合玉堂の作品を展示・販売してました。
鑑賞の際は、こちらもぜひ合わせて。
今日も明日もがんばろう。
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