アンソール「仮面の中の自画像」
仮面がいっぱい。
自分は確かにここにいると主張したいんだけど、
たくさんのおかしな声に飲み込まれて
手を伸ばしてもむなしく空を切るばかりで
このまま滑稽な無数の顔に沈んでいきそうな気がします。
ジェームズ・アンソール「仮面の中の自画像」。
押しつぶされそうな一枚です。
Self-Portrait with Masks(1899)
James Ensor
月に一度くらい、どうしても朝起きれないことがあります。
目が覚めたということは認識しているんだけど、
いくらがんばっても体が起き上がらない。
体が異常に重たく、海の底に沈んでいるような気持ち。
金縛りとは違って目は開くし手くらいは動かせるし寝返りもうてるので
時計を見たりメールをうって「遅れます」と報告はできるんだけど、
すぐにまた、ずぶずぶと沈んでいく。
そうして頭のなかをいろんな声が駆け抜けていく。
能動的に考えたり思ったりするのではなく、
考えや思いが受動的に、あらわれては消えていく。泡みたいに。
雑踏の中にぽつんと身を置いて、周囲を声が飛び交っているような。
眠っているわけではないのに、
そこから一歩も動けなくて。
頭のなかだけは怖いくらいに動いている。動かされている。
「起きなくちゃ」っていう思いが片隅にありながら、
結局それが3、4時間くらい続きます。
今日も起き上がれたときには午後1時を過ぎていて
夏風邪をこじらせて……と嘘をついて出社しました。
う〜ん、何なんでしょうね、これ。
普通にあることなのかな。
さすがに同僚とかに話すのもためらわれるので
ずっと放っておいてるけど、
たまたま今日は仕事が落ち着いてたからよかったようなものの
そのうち重大なトラブルを起こしそうで怖い。
睡眠不足のせいでもないようなので
やっぱりストレスとかそっちなんだろうか。
それとも会社に行くのが嫌で甘えてるだけ?
小説を読んでるときとか、絵画を見たときとかに
言葉が脈絡もなく、奔流のように押し寄せてきて
夢とうつつの狭間にいるような感覚っていうのは
わりと昔からあることなので
いまさら鬱とかそういうことでもない気がするんですけどね。
だいぶ前ですけど、大山崎山荘美術館でモネの睡蓮の連作を見たときに
こんな感じで椅子に座ったまま動けなくなったり。
あれこれ考えても悪くなるいっぽうな気がするので
とりあえず土日はゆっくり休もうと思います。
今日も明日もがんばろう。
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