ユトリロ「モンマルトルのキャバレー、ラパン・アジル」
Cabaret du Lapin Agile à Montmartre(1916-18)
Maurice Utrillo
今日は日本橋高島屋の「ユトリロ展」に行ってきました。
こちらはチラシのメインビジュアルにも使われている
「モンマルトルのキャバレー、ラパン・アジル」という作品です。
制作年は1916年から18年のあいだ。
いわゆる「白の時代」から「色彩の時代」へと移行する期間にあたり、
漆喰で塗固めた白い壁と褐色の世界に
赤や緑の鮮やかな色彩が見て取れます。
酒におぼれ、精神病院への入退院を繰り返すなかで、
ユトリロが描いたのは自身が暮らしたパリの街並でした。
生誕130年を記念した回顧展では
初期から絶筆まで70点あまりが集まり、
そのほとんどにパリの風景が描かれています。
物悲しく寂れた雰囲気の白壁、
孤独の果てにたどりついた色彩。
人物は顔が認識できないくらい小さく描かれ、
こちらを向いているのかどうかさえ定かではありません。
アルコール中毒ゆえに病院や自宅で監禁されることも多かった画家にとって、
建物は自身を縛る檻であったのでしょうか。
そう思いながら作品を見ていたら、空の美しさに気付かされました。
これも作品によりけりではありますが、
時にユトリロの描く空は軽やかに伸びやかに、
どこまでも澄み渡っています。
鉄格子の間からユトリロが見た景色が
壁ではなく空だったらいいな、とそんなことを思いました。
日本橋高島屋の「ユトリロ展」は6月23日まで。
その後、函館、横浜に巡回します。
次回ももう1点、ユトリロの作品を紹介したいと思います。
今日も明日もがんばろう。
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