fc2ブログ

足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

川合玉堂「早乙女」

0   0


実に健康的で牧歌的。
のどかで明るい田植えの風景です。
川合玉堂「早乙女」。
山種美術館の川合玉堂展より。


川合玉堂「早乙女」
Young Ladies Planting Rice(1945)
Kawai Gyokudo




上から見下ろした見事な鳥瞰構図。
簡略化されたあぜ道はなだらかなカーブを描き、
絵具のにじみを利用する琳派の技法・たらし込みが用いられています。
青々とした早苗を手に
姐さんかぶりの女性たちが作業に精を出しており、
紺の絣に手甲と脚絆、菅笠をかぶった女性もいます。
5人のうち、表情が見えるのは2人だけですが
どちらも穏やかに笑みをたたえていて
のんびり幸せな気持ちになってきますね。


この作品が発表されたのは、1945年。
その前年から玉堂は東京都下西多摩郡三田村御岳(現在の青梅)に疎開しており、
そこで見た風景を絵にしたようです。
戦時中とは思えないほど静かに澄んだ田園風景は、
玉堂が求めた平穏のあらわれでもあったのでしょうか。




ぼくの実家は埼玉なんですが、
家のすぐ近くには田んぼが広がっていて
よくあぜ道を散歩したり、蛙やザリガニなんかをつかまえて遊んだものです。
あのころはカブトエビという不思議な生き物が
普通に田んぼを泳いでいたものですが、今はどうなんだろう。
ドジョウにアメンボ、この時期の月のない晩には蛍も見れたっけ。
玉堂の「早乙女」を前に、当時のことを懐かしく思い出しました。




今日も明日もがんばろう。
人気ブログランキングへ  Twitterボタン


画集 川合玉堂の世界画集 川合玉堂の世界
(1998/03)
玉堂美術館

商品詳細を見る



関連記事

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://suesue201.blog64.fc2.com/tb.php/832-b5600cde
該当の記事は見つかりませんでした。