シャヴァンヌ「眠れるパリを見守る聖ジュヌヴィエーヴ」
シャヴァンヌ「眠れるパリを見守る聖ジュヌヴィエーヴ」。
月明かりの下にたたずむパリの守護聖人を描いた作品です。
光は街をつつみ、誰もそれには気付かず眠りについている。
それにしても……向こうに広がるのは海でしょうか。
パリから海は見えないと思うけれど
おとぎ話の夜だから、そんな幻想も許されるのでしょう。
おぼれるような明るさに家並は黙し
しじまが広がってまいります。
St. Genevieve Watches Over the Sleeping City of Paris(1898)
Puvis de Chavannes
昨晩見た夢は、うれしくもさびしい夢でした。
いまだぼくのまぶたの裏には
彼女があざやかに像をむすび
こころかなしく果敢ない日々を
また送るような気がしています。
それを歓ぶ自分がいるから遣る瀬ない。
お前の心の中には月の光がねむつてゐる
やさしい月の光が。
悩み多きこの世からのがれる為に
私はお前の明さの中に溺れ死にたい
愛人よ、
お前のやさしい両手の静さの中に
私の心と思とをゆりうごかしておくれ。
その時私は過去の苦悩を忘れるかも知れぬ。
時にまた愛人よ、お前は
私の病気の頭を膝の上にのせて
私の為に歌つてきかせておくれ
私たちのことを歌つたのかと思はれるやうな歌を。
憂にみちたお前の瞳のうちに
お前の瞳のうちに私は
斯くまで沢山な接吻とやさしさを味ふので
ともすれば私の病気は治るかも知れぬ。
(ジャン・ラオール「さびしき小唄」)
今日も明日もがんばろう。
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